朝7時半。店舗に横付けされたトラックから荷卸しを急ぐ人たち。その横を通勤・通学者が足早に通り過ぎていく。ダイヤ街商店街の「いつもの朝」の光景だ。
その商店街の入口すぐの商業テナントビル「アプリ」と「エポ」の前。これまで通勤・通学で駅を利用する人たちが、開店前から停めていた自転車が一掃されていた。店舗前では、商店会の役員と市職員が停めようとする人に啓発チラシを配り、協力を求めていた。
緑化「台無し」に部課横断で協力
ダイヤ街商店街は、小田原駅東口すぐの「錦通り商店街」の中ほどからスクランブル交差点を繋ぐように伸びる約170mの商店街。昨年4月から、中心市街地に「にぎわい」と「やすらぎ」を創造する年「街なか緑化事業」のモデル地区として植栽や花壇、ベンチなどを設置。商店街に「憩いの場所」が整備された。
緑化がすすみ、憩いの場が出来たことで、改めて浮き彫りとなった課題が迷惑駐輪。特にエポ、アプリの前は「ベンチに座りたくても座れないなど(迷惑駐輪が)緑化事業を台無しにしていた」と商店街の小林鐵夫会長は当時を振り返る。
小林会長は商店会の役員で朝の見回りを提案。すると都市廊政策に関わる市職員も交代で見回りに参加した。緑化事業に携わる7部署の職員が、部・課を横断して協力、啓発用チラシを作成、配布するなど、商店主らと一緒に店舗の前に立った。小林会長は「部・課の違う市職員が協力してくれるとは思わなかった」と手放しで喜んだ。
都市廊政策は「もてなしの道路空間づくり」「魅力ある商店街づくり」「住みよい居住空間づくり」の3本を柱に、中心市街地の活性化を目指すもの。街なか緑化は3か年のモデル事業で、ダイヤ街から錦通り、お堀端通りと範囲を広げていく。ダイヤ街の成否が今後の事業推進に影響を与えるだけに、市側も精力的に協力。部・課を越えた対応に、ある職員は「画期的。今後の様々な事業への取り組みにも活かせるのでは」と目を輝かせた。
モラルに訴え啓発活動継続
啓発が始まってから目に見えて迷惑駐輪は減少。「取締まりはできないので、あくまでお願い」(市職員)の対応だが、6月に入ると朝9時前の駐輪はほぼ0になった。それでも「他店と値段を比較して戻って来るから」と言い残し、そのまま新幹線の改札を抜けていく女性もいた。モラルに訴える啓発活動は、しばらく続ける必要がありそうだ。
またダイヤ街から一掃された迷惑駐輪車の一部は、錦通りに移動している。緑化の推進は今後、迷惑駐輪対策と並行した対応が必要となる。
小田原駅東口のダイヤ街商店街で、買い物利用以外の迷惑駐輪を一掃しようという動きが続いている。当初、商店会役員が交代で行っていた啓発活動は現在、市役所職員も協力している。官・民一丸となった取り組みを追った。
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