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恋文に忍ばす小田原の情景 邸園PR事業でブログ活用

文化

公開:2015年9月12日

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秋からの舞台となる松永記念館で
秋からの舞台となる松永記念館で

 東京と小田原。新幹線で30分の距離を、電子メールが行き来する―。小田原市のホームページで、ブログ『汐風を感じる庭で』がひそやかに不定期更新されている。存在に気付いたのは、4月が終わる頃だった。

※※※

 「桜子さん」の呼びかけで始まるメールを綴るのは”谷崎透”。小田原に生まれ育ち、市内南町にある清閑亭の管理・運営に携わるという架空の人物だ。

 一方、「谷崎くん」と呼びかけるのは東京の建築会社に勤務する”桜子”。名字はつけられていない。

 2人は東京の大学の同窓生。文学系の授業を介して知り合った。メールからそこはかとなく伝わるが、透は桜子に大学時代から好意を抱いており、卒業後2年を経て再会した彼女に、再び淡い想いを寄せている―という設定だ。

邸園PRに新たな手法

 ブログ開始のきっかけは、清閑亭・松永記念館・小田原文学館で進める3館邸園連携事業。小田原の歴史ある建物のPRにあたり、物語形式で情報を発信してみようと、3館の運営者が集まる会議で提案された。当初の登場人物は「定年間近の夫婦」だったが、夫が妻を誘い、3館を巡り案内する内容はボツに。”趣旨はいいが、設定がつまらない”など厳しい意見が出る。「一回の文章を短く」、「年齢を若く」など周囲からのアドバイスを取り入れ、「20代半ばで離れた場所で暮らす2人」に決まった。

 四季ごとに主役の館を変える、開催されるイベントを織り交ぜるなど構想がまとまり、ブログがスタートしたのは今年3月末。最初の舞台は小田原文学館、ブログのタイトルは『君とみたい桜がある』となった。

「ぐっと来ない」で選手交代

 「始まってからが大変でした」。そう話すのは春の回で透の執筆分を担当した中村暢子(のぶこ)さん。松永記念館の展示・運営に携わる学芸員だ。桜子に”なった”のは、夏の回の舞台である清閑亭のスタッフ、渡辺剛治さん。男女を逆転させて書き始めたのは「おもしろそうだった」から。しかし「根は体育会系。直球タイプだけど、恋愛は諦めが早いかな」と自己分析する中村さんの”透”に、渡辺さんはいま一つ「ぐっと来なかった」と、さらりと笑う。夏の回からは男女の逆転を解消し、執筆にあたっている。

 砂張風鈴や、小田原文学館の設計者が曽禰達蔵であることなど、文化と歴史に関する情報も盛り込まれているほか、「伊藤若冲や与謝蕪村が好き」という透と桜子の会話には、渡辺さんたちの世界観も垣間見える。

 10月下旬からは舞台を松永記念館に移し、第3期がスタートする予定。「これまで3邸園をあまり知らなかった人にもブログを読んでもらえたら。新しい年齢層の来館者開拓につながるとうれしいです」と、2人は控えめに話していた。

ブログのトップ画面は季節ごとに変わる
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