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新九郎、19年の歴史に幕 利用者「アートを地域に根付かせた」

文化

公開:2015年12月12日

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 市内栄町の伊勢治書店3階にある「ギャラリー新九郎」が、今月末をもって19年の歴史に幕を下ろす。絵画や写真展など芸術活動の発表の場として、親しまれた空間の閉鎖に、利用者たちから惜しむ声が聞こえてきた。

 「日常を忘れ、非日常の空間を与えてくれた場所」。南鴨宮在住の椎野一郎さん(60)は月に1〜2回、新九郎へ足を運んできた。「作品をゆっくり見ていると、心が落ち着く。そんな場所がなくなるのは残念」と寂しさを滲ませる。

 閉鎖は運営する(株)伊勢治書店の経営全体の見直しによるもの。苦渋の決断をした筒井正博社長(67)は、「会社を守るためには、避けることができなかった。使っていただいた方には申し訳ない」と胸のうちを明かした。

 新九郎は、もともと文具の在庫スペースだったが、改装して1997年1月にギャラリーとしてオープン。プロだけでなく、地域住民の個展やグループ展などに重宝されてきた。これまでに述べ473組が新九郎を借りてイベントを開催、約1万人が鑑賞に訪れた。

 ただ、開業から数年はなかなか借り手がいなかった。1週間単位でギャラリーを貸出しているが、予約は年間10週ほど。残りの40週は、中古ビデオの販売や手帳フェアなどを自社で企画し、スペースを埋めた。同社社員で、新九郎を担当する木下泰徳さん(66)は、「ギャラリーの運営経験がなかったので試行錯誤だった。それでも年を重ねるに連れリピーターも増え、7年目ぐらいからやっと軌道に乗った。おかげさまで今年は予約でいっぱい」と感謝を口にする。

広い、駅近、喫茶室年々増えたリピーター

 毎年3月に展示を行うスケッチングウォークの会の松野光純代表(71)は、新九郎の利点をこう話す。「喫茶室もあるので来場者との談笑に使えた。それと、何といっても空間が広くていい」。160人超の会員が1点ずつ出品するため、広さ約100平方メートル、壁面38mの新九郎が最適だったという。また、普段は東京で個展を開くことの多い画家の横井山泰さん(39)は、「年に1回利用していますが、駅近なので県外からもたくさんのお客さんが小田原まで来てくれた」と話す。

 小田原高校美術部の講師を20年以上務める佐々木美直子さんは、美術部卒業生たちとイラストや油彩画を毎年2月に披露してきた。「来年も予約していたので本当に残念。地域にアートを根付かせるのに大きな役割を担っていた」と閉鎖を悲しんだ。

 12月16日(水)から21日(月)には、最後の展覧会『新九郎アートフェスティバル』を開催。これまでの利用者が1点ずつ出品して91点が並ぶ。「新九郎の集大成なので多くの方に来てほしい」(木下さん)

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