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2015年度伝統的工芸品産業大賞の作り手部門で功労賞を受賞した 海野 文夫さん 市内久野在住 80歳

公開:2016年1月16日

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いぶし銀の恵比須顔

 ○…木製玩具やこけしなど伝統工芸品の特に細かい部品を作り続け、その功労が認められての受賞。「木工職人としてここまで続けられたのも、夫婦二人でやってこられたから。家のことは妻に任せっきりで、仕事に没頭できた」。『職人』というと、どうしてもべらんめえ口調をイメージしてしまうが、話しぶりは穏やか。眉間ではなく、目尻に刻まれた笑いジワが、歩んできた人生を物語る。

 ○…「職人は食いっぱぐれないから」と中学を卒業してすぐに小田原の木工所に就職。誰よりも早く出勤し窓を開け、研ぎ水を代え、研鑽の日々を重ねた。材料の木の棒が床に落ちていると師匠に「『飯の種を踏んづけるんじゃねえ』と玄能でぶっ叩かれた」。ひたすらに挽物加工に向き合い65年。今では厳しい下積みも良い思い出だそう。

 ○…6人兄弟の大家族のため入社当初は、自身の給料もまるまる家の生活費に充てた。唯一休みの日曜も出勤し、皆勤賞の500円をコツコツと貯め、10年ほどで果たした念願の独立。だが道は険しく、時には仕事がない時もあった。「職人だからモノを作るのは得意だけれど、金もうけが下手でね」。そんな辛い時期を乗り越え「より良いものを、自分なりに考えたものを作りたい」と、溢れんばかりの情熱を注いだ。朝まで夫婦二人三脚で働き、下曽我に工場を建て機械も導入。マイホームも持った。

 ○…伝統工芸士の跡継ぎ不足が取り沙汰され久しい昨今。3年前、ミリ単位の細かい作業にとって何よりも大事な商売道具の目に、白内障を患った。廃業も考えたが、そこに現れたのが「うちには良くやってくれる若い衆がいてね」と思わず目尻を下げる大卒の新人。「独自の感性」で工芸品に向き合い、発信する後継者の頼もしい姿に浮かべる安堵の表情。それでも「職人は一生勉強。若い衆に迷惑をかけない程度に、頑張りたい」と引退はまだ先。なおも深みを増すいぶし銀だ。

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