市内多古地域の歴史を古代から近現代まで調査し、まとめた『街道の村 多古風土記』が出版された(製作・夢工房、A5版・164頁)。
著者は、生まれてからずっとかつて多古村と呼ばれていた扇町に住む柳川明夫さん(74)。柳川さんは、「藪柑子(やぶこうじ)実」のペンネームで、過去に詩集や「聞きなし」(鳥のさえずりなどを人間の言葉にあてること)をテーマにした書籍を出しており、今回が8年ぶりの新刊となる。サブタイトルの『街道の村』は、多古村を東と西に分けるように甲州街道(矢倉沢往還)が通っていたことを指している。
『多古風土記』を記すきっかけとなったのは、柳川さんが古希を過ぎた頃。かつて多古の歴史を語ってくれた隣人や友人が周囲に少なくなっていることに気づかされる。「今、語り継がなければ、子や孫の世代に伝えられない」との思いから筆をとった。
いざ、はじめてみると多古の歴史に関する資料は少なく、苦労したという。それでも『新編相模國風土記』や『矢倉沢通見取絵図』などの資料をかき集め、発刊にこぎつけた。
文体を「ですます調」で記し、難しい漢字にはルビを振るなど、中高生でも読みやすいような配慮がなされている。柳川さんは「若い人が地元の歴史に触れるきっかけになれば」と話す。
なお『多古風土記』は、栄町の平井書店で購入可能。