酒匂中時代、バドミントンダブルスで神奈川最強を誇った横田康輝君(横浜高3年・南鴨宮在住)と酒口夏君(鵠沼高3年・同)。別々の高校に進学した2人は、ライバルとして県のトップまで登りつめた。
7月18日、中学校の卒業式以来となる母校の体育館へ2人は足を踏み入れた。部活で3年間汗を流した場所に、「あの頃とぜんぜん変わらない。懐かしいなぁ」と横田君が言えば、酒口君は「練習はきつかったけれど」と笑って応える。それぞれを『ヨッコー』『ナツ』と呼び合う富士見小からの同級生は、ここでバドミントンを始め、ダブルスのペアを組んだ。最上級生になってからは、3回の県大会ですべて優勝。「ナツのレシーブはすごい」(横田君)、「自分が拾えばヨッコーがスマッシュで何とかしてくれる」(酒口君)。互いを認め、信頼し合ったコンビは、県内公式戦で1度も負けることはなかった。
酒匂中で抜群のコンビネーションを誇った2人だが、進路は分かれた。強豪・横浜高へ進学を決めていた横田君から、「一緒に行こう」と誘われた酒口君。しかし、「家から遠いのもあったけれど、同じチームになれば県内敵なしになってしまう。自分より強いヨッコーを今度は倒したい」と断り、鵠沼高へ進んだ。
県決勝でみたび激突
進学先ではそれぞれ新たなパートナーを見つけ、練習に打ち込んだ。そして昨夏、2年生になった2人はある大会の県予選決勝で初めて対戦。結果は『打倒・横田』に燃える酒口ペアが、ゲームカウント2-1で横田ペアを下した。その一戦が今度は横田君の闘志に火をつけ、11月の県大会決勝では2-1で雪辱を果たす。
迎えた今年5月、インターハイ県予選決勝でみたび激突。試合は序盤から一進一退の攻防を展開するも、1ゲーム目の途中、思わぬ形で幕を閉じる。酒口君のパートナーが脚を痙攣(けいれん)させ鵠沼が棄権。”相棒”から”ライバル”となった2人の最終決着とはいかなかったが、上位2組に与えられる全国の出場権を揃って手にした。
試合後、2人には特別な感情が込み上げた。県王者となった横田君は「ナツがいたからこそ、中学、高校とここまで来られた」。その横田君に中学入学前、バドミントン部へ誘われた酒口君は「あの時声をかけてくれなければ今の自分はない。本当に感謝している」。
8月8日(月)から岡山県で開催されるインターハイでは、ともに神奈川代表として全国の猛者に挑む。