蟷螂(かまきり)が結ぶ縁【3】 伝統をつなぐ"導火線"

文化

掲載号:2016年9月24日号

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満員の聴衆が、蟷螂山の歴史に聞き入った=8月6日・森町
満員の聴衆が、蟷螂山の歴史に聞き入った=8月6日・森町

 祇園祭りの山鉾「蟷螂(とうろう)山」と、遠州森町飯田山名神社の「蟷螂の舞」。「かまきり」で共通する伝統芸能を持つ両者を今につないだのが、小田原市本町の老舗製薬・製菓会社ういろうの外郎(ういろう)武社長だ。8月6日、静岡の森町で行われた講演会で、三者が膝を交えた。

 講演に先立ち、森町に伝わる蟷螂の舞が披露された。続く蟷螂山保存會の常任幹事・本井元康さんによる基調講演では、山鉾の歴史や『洛中洛外図』に描かれた祇園祭の様子を紹介。200人近い参加者は真剣な様子で聞き入った。

 森町の太田康雄町長が「町の年表に記載されるべき重要な一日」と評するように、京都と小田原の中間に、町の足跡がしっかりと残された。

  ※  ※  ※

 9月19日、時おり小雨が落ちる小田原城本丸広場に

鼓と横笛の音が響いた。神奈川県にゆかりのある伝統文化を現代に発信するイベント「リ・古典」に、森町・山名神社の舞楽がゲストとして出演。天守閣をバックに、蟷螂の舞を含む3種の舞が披露された。

 7月に森町で体験した、囃子を奏でる屋台(山車)の騒々しさとの融合はない。鶴に龍、そしてかまきりの被り物をした舞い手の子どもたちが、調子に合わせ舞台上を動く。蟷螂の舞を見るのは、今回が3度目。被り物から伸びる紐を引くと、ゆっくりと鎌をもたげる様が、見るたびに本物に近づいていくように感じ、魅せられる。

 かまきりを演じた平松隼(はやと)君(小5)は、5年前から舞を始めた。これまで8種のうち2種の舞を経験し、今年初めて蟷螂の舞に挑戦している。「(舞台と同じ)畳の大きさにテープを貼り、家でお母さんに携帯電話で撮影してもらって練習しています。きれいに踊れるとうれしい」と、小さな声で恥ずかしそうに話す姿が印象的だった。

  ※  ※  ※

 京都・静岡・小田原で、「蟷螂(かまきり)」が結んだ縁に接した3カ月。

 祖先が創始した京都の山鉾、また祖先が小田原に移住する途中でもたらしたとされる静岡の舞。いずれにも携わる、(株)ういろうの社長・外郎武さんは、「2014年に初めて小田原で蟷螂の舞が舞われてから2年。当時は当家と森町とのつながりだったが、今回は神奈川県へと器が広がった」と感慨深げに振り返る。

 自らの役目を”導火線”と話す武さん。「今回、京都と森町の交流が生まれたことで、文化が”つながった”。文化とは人が継ぎ、心に残るもの」。気負うことなく伝統を継承していく決意が滲む。本丸広場で蟷螂の舞を見た人の心に、何が残っただろうか。 (了)
 

伝統を背負い、蟷螂の舞を披露する=9月19日・本丸広場
伝統を背負い、蟷螂の舞を披露する=9月19日・本丸広場

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