遊漁船「平安丸」船長の小林義高さん(32・市内本町)=写真右=が9月8日、人命救助の功績に対し、湘南海上保安署の和田聡明(としあき)署長=同左=から表彰を受けた。
小林さんはイカ釣り船を操業していた7月27日の正午近く、真鶴半島から2Kmほどの三ツ石沖で、転覆したプレジャーボートを発見。救命胴衣を着て手を振る男性に近づき、船に積んであったロープを投げて自船に引き上げた。
小林さんは、最初のポイントに向かう途中から、近くを走っていたボートを「バランスが悪く危ないな」と思い、気にしていたという。約10分後に釣り場を移動しようと船を旋回させた瞬間、ひっくり返ったボートが視界に入った。小型船舶の免許取得時に救助の基本は学んでいたため「手順は頭に入っていた」と振り返る。波を立てないよう風下から男性に近づき、釣り客らと3人がかりで救助した。
父の影響で県立三崎水産高校(現・海洋科学高)へ進学。卒業後は調査捕鯨船勤務を経て、6年前から平安丸で舵を握る小林さん。普段は4時ころ起床、8時間近くを海の上で過ごし、午後9時半過ぎには床に付く。「お客さんに楽しんで釣りをしてもらえるのが何よりうれしい」と日焼けした顔で笑った。
船長歴5年で初めての救助活動に「当たり前のことをしただけ。舷が高く人を引き上げるのに苦労したので、今後は不測の事態に備えて縄ばしごを用意しておきたい」と教訓を口にした。