――熊本の地震はとても衝撃的でした。防災対策についてお聞かせください。
「今回、熊本城復興のために集まった義援金を届けに現地に行きました。小田原市にはもちろん、地域防災計画があるのですが、熊本地震以後、防災部を中心に庁内すべてで計画を1から全部見直しています。例えば広域避難所で必要な装備はどのぐらいかとか、仮設のトイレが全然足りないなとか、物流の拠点はどういうところか、などで、重要なものについては年度内にまとめる予定です。それを受け、既存職員の配備体制や防災の備蓄まで全て手直しと補強をしていくことになります。
熊本地震では、防災部の職員の他、国県等からの派遣要請で危険度判定のできる都市部や建設部の職員・住家の被害認定調査を行う総務部の職員も現地に送るなど、被災直後の現場を、職員自身が触れてきました。小田原の場合は大規模地震+津波の災害を想定していて、熊本地震以降、より実戦に耐えうる準備を急ピッチで進めています。
防災部で既存の防災計画のチェックをやっており、一昨年、昨年と全市の広域避難所を一斉に開設する訓練もやりましたが、これももっとリアルな想定での訓練にしたいと思っていますし、消火訓練や三角布の応急手当訓練だけではなく、より本格的なシミュレーションをする必要があると思っています。我々職員もより実戦を想定した準備をしていきますが、住民の方にもさらにレベルの高い準備をしてもらう必要があり、今後はそういう取り組みを強化していくことになります」
――インフラや公共施設の防災対策はどうですか。
「屋内体育館の耐震は全部済んでおり、トイレの洋式化も現在進行中です。今後は例えば屋根に太陽光パネルをのせ、蓄電池にためて停電時にも広域避難所に電気が通るような状態にするなどエネルギー面での補強や、給食室を使ってきちんと炊き出しができるようにするなど手を付けたい課題は沢山あります。
また熊本地震や東日本大震災でもそうでしたが、行政が準備した避難所以外にも多くの方が避難するので、避難所が小学校だけでは足りない恐れがあります。今後は中学校も含めて避難所の在り方を検討していきます。他にも物流の確保や連絡体制の整備なども大きな課題です」
――最後に2017年はどんな1年にしたいとお考えですか。
「おかげさまで多くの市民の皆さんが、他人任せ、行政任せにせず、それぞれの立場で色々な取り組みに着手してもらったおかげで、『市民の力で未来を拓く希望のまち』の姿というものがだんだん立ち上がってきています。しかし、まだまだ盤石の態勢になっているとは言い難いですし、軌道に乗ったと言える状況ではありません。地域コミュニティや再生可能エネルギー、環境保全活動など、良い方向に向かう兆しが出てきて様々な取り組みをしっかり形にしていく歩みが、着実なものになる、それが2017年の大事な点だと思っています。無投票で3期目の任期をいただきましたので、これまで取り組み、着手してきたものに、市民の皆さんにも自信を持って一緒に取り組んで頂きたい。そのことにより持続可能な地域社会モデルというものを小田原で形にしていく、そういう確信を皆さんが深めていただく一年にしたいと思っています」(了)