市内板橋にある「旧内野醤油店」が、国登録有形文化財に登録されることが決まった。国の文化審議会(馬淵明子会長)が7月21日に文部科学大臣に答申し、順調にいけば1カ月程で登録完了となる。
対象となるのは、旧内野醤油店の店舗兼主屋・新座敷・店蔵・文庫蔵・穀蔵・工場・稲荷社・表塀の計8件。このうち表塀は、小田原市では初めての「工作物」としての登録となる。
旧内野醤油店は、初代・内野種三郎氏が酒の醸造業を営んでいた本家から分家して開業、3代にわたり醤油醸造業を営んできた旧家。店舗兼主屋は1903(明治36)年に建てられた土蔵造り風の建物で、なまこ壁や石造アーチなど和洋折衷の意匠が取り入れられている。敷地内には工場のほか3つの蔵が備わり、どれも明治〜大正前期にかけて建造されたものだ。
国登録有形文化財制度は建造物の保護を目的に制定。建設後50年を経過したもののうち「歴史的景観への寄与」「造形の規範」「再現することが容易でない」のいずれかの要件を満たすものが対象となる。市文化財課では「寺院や別荘が残る風情ある板橋を象徴する建物。街並みを形成する大きな要素である点が評価されたのでは」と分析する。
昭和50年代に醸造業を廃業し3代目が亡くなった2011年以降は、現在の所有者である4代目の内野洋一郎さんと、長年同地区のまちづくりを担ってきた「板橋まちなみファクトリー内野邸プロジェクト実行委員会」を中心に管理・保存。月4回有料で一般公開しているほか、母屋と穀蔵を多目的スペースとして貸し出している。こうした保存・存続のための活用は地域のボランティアが担っており、内野さんは「建物を残したいという思いが集まり、存続できている。今後もこうした輪が広まっていけば」と話した。
今回の新規登録によって、市内の登録有形文化財は23件になった。
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