第72回国民体育大会サッカー競技少年男子で優勝の神奈川県チームの監督を務めた 平塚 次郎さん 小田原市出身 37歳
選手の背を押す言葉
○…広島県と対峙した決勝戦は、前後半を終えて0対0。延長で勝敗が決しなければ、両者優勝となるのが規定だ。20年前に国体に出場したが、届かなかった頂点の座。悔しさは鮮明に脳裏に焼き付く。「単独優勝をめざそう」。そう声をかけて送り出した選手は、逞しく栄冠をつかんだ。目標達成に喜びをかみしめながらも、「再スタートだ」と気合いを入れ直したのは親心。「てっぺんをとると気が緩む。彼らには日本代表を目指してほしい」
○…幼稚園の頃、兄の影響で始めたサッカー。才能はすぐ開花し、優秀な人材を発掘して育てる組織「トレセン」にも選抜された。そこで出会った各地域のトップレベルの選手。「小田原で一番」と思っていた少年は、にわかに鼻をへし折られる。だが、「ジャンケンも負けたくない」という超が付く負けず嫌い。勝ちたい一心で練習に励み力をつけた。白山中を卒業する頃、複数の高校から届いた推薦を蹴って選んだのはベルマーレ平塚(当時)の下部組織。努力でライバルに打ち勝ち、Jリーガーになる夢もつかんだ。だが、出場は3年間で11試合。「プロの山は高かった。今振り返れば、緩みがあったかな」
○…サッカーのこととなればストイックさが健在だが、その素顔は「3人の子どもと遊ぶことが趣味」という優しきパパ。「やりたいと思う気持ちさえあれば、成功しなくても良いと思う」。勉強や趣味についてとやかく言わず、あくまでも自主性を重んじるのは自身の父親に似ている。
○…指導者として大切にしている「言葉」。住む地域や家庭環境など、選手個々の背景を理解して接し方を考える。「戦術はネットや本で調べられるけれど、選手との信頼関係を築くのは言葉。プロの世界に行ったら、それはなおさら」。現在は湘南ベルマーレのU-15(15歳以下)のコーチ。世界で活躍する選手を育て、地元のサッカー界を盛り上げるのが目標だ。
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