小田原中学校、県立小田原高等女学校、市立小田原高等女学校の3校により結成された混声合唱団「シグナス」。今年で創立70周年を迎え、11月5日(日)には市民会館大ホールで記念コンサートが開催される。
戦後まもない1947年。男子校だった小田原中の生徒から、県立小田原高等女学校と混声合唱団を立ち上げようという話が持ち上がる。だが、男女別学が基本だった戦時中の色はまだ濃く、「若い男女が一緒に歌うとはとんでもない」と、教職員の間では反対意見もあがった。
しかし、ついに職員会議で許可がおりると、市立小田原高等女学校も含めて混声合唱団を結成。当時としては画期的な試みで、男子生徒が喜々として練習に向かった様子が会報誌に記録されている。
当時、市内で活動していた星座に由来する名称のコーラスグループを意識し、団名は「シグナス」(白鳥座)と命名。48年には第1回演奏会を開き、翌年には毎日学生音楽コンクールに出場。兄の俊夫さんが団に在籍していたことが縁で、現在は世界的指揮者として活躍する小澤征爾さんがピアノ伴奏を務めた過去もある。
51年には県高校合唱コンクールで優秀賞を獲得するが、次第に受験戦争や学校教育の制約などにより活動は衰退。53年に団は自然消滅してしまう。
だが、55年には団員の対象を高校生から一般に変更。「シグナス合唱団」として再スタートを切った。約50年前、大学時代に入団した横川忠さん(72)は、「練習後は皆で飲んだり、キャンプに行ったり仲が良く、メンバー同士で結婚したカップルも数組あった」と懐かしむ。活動の方向性の食い違いにより、分裂を2度経験しながらも70年間継続してきたのは「皆、歌が好きだから」の一言に尽きる。現在、約20人のメンバーは40〜70代。活動を継続していくためにも、目下の課題は団員の確保だ。
コンサートは午後2時開演。入場料千円(高校生以下500円)。問い合わせは横川さん【電話】0465・35・1624へ。
※学校名は結成当時のもの
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