小田原版 掲載号:2017年12月2日号
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小中学生に陸上の指導をする 和泉 克介さん 国府津在住 72歳

陽だまりのじいちゃん

 ○…速度計とメガホンを自転車にくくりつけ、子どもたちの練習に伴走する。森戸川の土手の草を刈った自宅前の”ランニングコース”には、放課後になると市内各地から20人を超える小中学生が集まってくる。クラブチームでも何でもない、「ただの陸上愛好会」。40年以上指導を続けるうちに、いつしか親しみを込めて「じいちゃん」と呼ばれるようになった。

 ○…マラソンが好きで、東京駅から伊勢神宮まで走破したことも。スキーとスピードスケートで国体に出場し、40歳からトライアスロンをはじめた。44歳のとき、練習中にバイクにはねられ生死をさまよう。怪我の後遺症が残るが「ここまで元気になれたのは子どもたちのお陰」。心を奮い立たせてくれたのは、練習を楽しみにしている教え子たちだった。JRを退職後は郵便局で働き、今は学校給食の運搬を担う。休日は子どもたちに昼食を用意。「みんな喜んでくれるかな」と、料理番組で学んだレシピにも挑戦する。奥さんも手伝ってくれるのだとか。

 ○…北海道旭川市(旧東旭川町)出身、12人兄弟の10番目。学校まで片道4Km、冬は雪の中を歩いて通った。鍛えた足腰でマラソンに野球、相撲の稽古に励んだ少年時代。忘れられないのが中学で野球を教えてくれた恩師。同じ目線で、同じ気持ちになって話をしてくれる姿が、今でも胸の奥底に焼き付いている。

 ○…息子夫婦や娘夫婦、孫に囲まれて暮らす。「本当は、もっとにぎやかだったんだ」と、病気と死産で娘2人を亡くしたことを静かに思い出す。「子どもたちに、やれることをやってあげたい。悪い道にだけは走らないように」と言葉を噛みしめる。じいちゃんの家の前はいつも笑顔でいっぱいで陽だまりのよう。春夏にはマラソン大会を兼ねたキャンプ、冬はスキーにも連れて行く。「自分だけではできない。協力してくれる親御さんに感謝です」と、優しい目をさらに細めた。

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