商工会議所会頭インタビュー・前編 「地域の魅力」をかたちに
年頭にあたり小田原箱根商工会議所・鈴木悌介会頭に、地域の経済状況や新年の抱負を語ってもらった。
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--まず、昨年はどのような1年だったでしょうか。
「地球規模の変化を体験し、また見せられた年だったと思います。経済はグローバル化し、お金や情報の流れにはもはや国境はありません。環境でも地球規模の気候変動が進み、我々の商売でも例えば雨が異常に降ると売上にも大きな影響が出ています。『地域の中小企業だから』と、世界の流れに無関心ではいられなくなっています」
--商工会議所や金融機関の指標で、地域経済は上向き傾向を示しています。
「失業率などをみても統計上は相当良くなっていますが、地域の中小企業はなかなかそれを実感できないところは相変わらずです。政府の経済活性化策は大企業中心で、その延長線上で、地域の暮らしを下支えする中小企業が持続可能な形で繁栄できるのかを検証していく必要があります」
--小田原も箱根も、観光業は活況でした。
「3年前の大涌谷の火山活動から約1年間は苦心しましたが、おかげさまでお客様はようやく戻りつつあります。ただ厳密に見ると大涌谷以前の水準にはまだありません。まだ伸びる余地があると思っています。商工会議所では2年前に『平成の城下町・宿場町構想』を示し、小田原城を中心として観光や文化のテーマパーク化を目指しています。その中で昨年5月から5つの分科会で小田原駅前や周辺、三の丸地区、かまぼこ通り、邸園、海をテーマに議論しています。すでに具体化された一例では、昨年10月にクルーザーで早川漁港に来てもらう取り組みを実施しました。小田原は鉄道、道路交通もアクセスが良い。これに加え海からのルートも有って然るべきではないかと。2019年には小田原漁港の西側に市の新施設も整備されます。そこが海とまちの結節点になれば面白い場所になると思います」
--小田原城に関するアイデアはいかがでしょうか。
「少し時間がかかると思いますが、小田原駅から小田原城天守閣へつながる導線を上手く引くことも重要なポイントです。今は残念ながら小田原駅に降りても、どこにお城が有るか分かりにくいですね。最短ルートの旭丘高校方面の青橋側の入り口では、裏からお城に入ることになります。駅前通り商店街からお堀端商店街を通るルートならば、お堀を見ながら天守閣へ登っていくことができ、よりお城の魅力を感じていただけると思います。商店街との連携も一歩ずつ進めています。建物をすべて建替えるのは無理ですが、例えばルートにちょうちんを並べれば、お客さんはワクワクしながらお城に向かっていけます。そういうプランも議論していますので、今年度中に何かしら絵が出せると思います」
〈1月13日号に続く〉