小田原版 掲載号:2018年2月3日号
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10代の悩み相談室の開設に向けて準備を進めている 荒木 信広さん NPО法人「心の居場所」代表 41歳

どん底乗り越え得たもの

 ○…「生徒指導員」として、小田原市教育委員会から中学校に派遣されて5年。悩みを抱えたり、非行に走る生徒の相談役として「のぶさん」の愛称で親しまれる。いつも持ち歩くのは、相手の長所を探して記す『いいところカード』。出会った当初こそ「なんだよハゲ」と敵意をむきだしにしていた生徒が、手にしたカードの枚数を重ねるうちに心を開く。そんな姿がうれしくて仕方ない。「これが天職。ずっと子どもを守る」。そう決意し、このほどNPО法人格を取得、10代の相談所設立に向け準備を進める。

 ○…「父はヤクザでした。家計を切り盛りする母も、仕事が忙しくて留守がちで」。募る寂しさは非行の要因となり、事件を起こしては鑑別所や少年院に収容される荒んだ青春時代を送った。転機は、保護司の紹介で20代前半に就職した水道設備会社の親方との出会い。真面目に生きることに何度抵抗しても、「とにかく話をしよう」と見放さずに受け入れてもらえたことで、生まれて初めて覚えた心の安らぎ。かつての生活に戻りかけても、歯止めとなったのはふいに思い起こした親方からの愛情だった。

 ○…「放課後に、自由ではなく孤独を感じる子どもも多い」。SОSサインが出れば夜中でも助けに駆けつける24時間体制の生活に、過労でうつ病を発症した時期もあった。悩みをぶつけてくる生徒たちに、「今日優しく話せても、明日も優しく話せないと」。心身を鍛えようと励むウエイトトレーニングでは、ベンチプレスで160kgを上げる。

 ○…29歳の時、人のために生きようと、専門学校で心理学を学んでカウンセラーの資格を取得。問題を起こす多くの生徒は、「心のどこかに寂しさを抱える」。かつての自身もまた、寂寥感が人生を踏み外すきっかけだった。「寂しいこと、悲しいことは大嫌い」。だがあの経験こそ、充実した現在に役立っているのも事実。「悲しみと喜びはつながっている。今はそう思えるんです」

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