6次産業化総合化事業計画の認定を受けたはなまる農園の代表を務める 石井 久喜さん 東町在住 45歳
もっと走っていきたい
○…人に夢を与える仕事につきたいと願った。職人の手から生み出される料理こそ自身にとっての「夢」だが、それだけで人を幸せにできるのか―。答えはノーだった。本当においしい料理を食べてもらうために食材が重要と考え、25歳から始めた農園で育てる野菜は約150種。仕事で行き詰まると、畑に立って野菜の声を聞く。「すると返るんだ。農業をはじめた頃の気持ちに」
〇…農業の傍ら、育てた野菜を使ったレストランを経営。季節の野菜に肉や穀類を混ぜた「パワーサラダ」は農林水産大臣から6次産業化総合化事業計画の認定を受けた。野菜作りに情熱を注ぐ日々だが、実は野菜嫌い。だからこそ万人受けするような「おいしい野菜料理をつくればいい」という思いが人一倍強く、高校卒業後は調理師学校に通った。空いた時間に母が営んでいた花屋を手伝っていたが、元来ものづくりが好きな性分。自ら花や野菜を作って店頭に並べると、喜ぶ人の顔に出会えた。それが今につながっている。
〇…現在約2・5ヘクタールの畑で野菜を育てる。取引先は大手ホテルなど約30軒。一流の料理人に惚れこまれる野菜の秘密は一番おいしい瞬間を見極める「目」にある。野菜がおいしく食べられるように成長に合わせて肥料を与え、収穫。「味の良さを分かってくれる人が一人でもいればいい」と、こだわりも強い。
〇…耕作放棄地などを利用し農地保全に努める(株)小田原柑橘倶楽部の代表も任され、休みのない日々。一番の癒しが小学校4年生の愛娘との時間。「自宅ではいつも膝の上に座ってる。可愛くて愛しくて」と途端にほころぶパパの顔。誰かのためにがんばれる。心根の優しさは「人のために真っ直ぐ走っていきたい」という強い思いが支えている。
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