万葉倶楽部(小田原市)と東京都の間で交渉が難航していた豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」の建設。同社の高橋弘代表取締役会長と小池百合子都知事が5月30日、横浜市内で面会し、東京オリンピック・パラリンピック後に建設工事を着工することで基本合意した。
千客万来施設事業をめぐっては、2016年3月に同社が事業予定者に決定した後、土壌汚染問題で豊洲市場の移転が延期。さらに、昨年6月20日に小池知事が「築地は食のテーマパークに、豊洲は総合物流拠点に」と、方針を転換。同社は「事業の大前提が唐突に変更された」と、都に方針の撤回と計画の具体的内容の明示を求めていた。
面会では、五輪前の建設ラッシュによる建設費高騰を避けるため、20年以降に着工することで合意。同社にとっては着工までの期間に猶予をもつことで、築地再開発との施設の整合性や、豊洲と築地の相乗効果について確認することができるという。
高橋会長は小池知事に着工までの間、敷地をイベント会場として活用することを提案。この内容は市内本町の仮称城下町ホール建設予定地の活用案として、かつて高橋会長が発案したもの。豊洲がほぼ同じ敷地面積であったことから、このアイデアをベースに提案した。活用案は受け入れられ、都が中心となって運営することとなった。
面談で小池知事から「ご心配ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたい」との言葉を受けたという高橋会長は、「謝罪をいただき、都との信頼関係は回復した。真に都民が希望する施設になるように努力する」と話した。