「日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞」(主催/日本認知症ケア学会、特別後援/読売新聞社)の受賞者が6月16日に発表され、ODAWARA若年認知症サポートプロジェクト(峯尾生恵(たかえ)代表)が実践ケア賞を受賞した。
同賞は質の高い認知症ケアの実現に取り組む個人・団体グループにその努力と貢献をたたえるもの。2004年に始まり、今年度の表彰では実践ケア賞には3団体が選ばれた。「認知症のある人の尊厳ある生活を作り上げること」の取り組みが評価され、今回の受賞につながった。
同プロジェクトは介護を必要とする人が「住み慣れた環境で暮らす」ことをテーマに13年12月から活動を開始した。月に一度、若年認知症の当事者や家族をはじめ医療、福祉、介護者などのサポーターらが集い、食事をしたり、体を動かしたりする中で話し合いを重ね、情報交換をしてきた。
活動開始当時は若年認知症への社会的関心は低く、行政側も若年認知症の人数や困りごとの実数を把握していない状態だったという。
定期的に交流を持つ中で参加者が同じ立場で悩みを打ち明けたり、相談を重ねたりすることで自由に参加できる居場所としての空間ができ上がった。
「周りの人に迷惑をかけてしまう」「トイレが心配」などという参加者の考えから開設から1年ほどは外での活動を控えていたが、14年には山梨県に桃狩りを実施した。その後も江ノ島や北海道、沖縄県・宮古島などに旅行に出かけている。峯尾代表は「認知症になったから知り合った会。みんなで一緒に旅に出て、思い出が作れてうれしい」と話す。現在、メンバーは25人ほど。介護することに孤独を感じていたというメンバーからは「参加して気持ちが楽になった」「前向きになれた」という声も寄せられている。
峯尾代表は「諦めるのではなく、自分のやりたいことを諦めずにやろうが私たちのモットー。これからも皆が楽しむことができて、当たり前に生活していける環境にしていきたい」と微笑んだ。
若年認知症とは65歳未満で発症した認知症のこと。09年に厚生労働省が発表した調査結果によるとその数は、全国で約3万7千人いるといわれている。
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