小田原市の65歳以上の人口は5万6217人(9月1日現在)。昨年より670人増で過去最多となり、人口の3割を占める。また、100歳以上の人口も過去最多の116人に。最高齢は市内唯一の明治生まれ、久野在住の遠藤静江さん106歳だ。
9月17日の敬老の日を前に、市内のデイサービスから「利用者さんもスタッフも憧れる、素敵な99歳の女性がいらっしゃるので紹介したい」と、編集室に連絡が入った。その女性は鴨宮の佐野テルさん。現在でも認知症はなく、歩行器を使って自分で歩く。明るくはきはきと話す姿が印象的だ。
要介護4から1に改善
佐野さんは1919(大正8)年生まれ。来年100歳を迎える。長男夫婦と3人暮らしで、96歳まで台所に立ち料理の腕をふるった。3年前から通っているデイサービス・ツクイ小田原の金山智子所長は「温かい気配りで、いつも周囲を和ませてくれます」と話す。
小田原育ちの佐野さんは、「小さい頃はおてんばだった」と笑う。あまり病気をしたことがなかったが、3年前の夏に腸の病イレウスを患った。退院してデイサービスに通い出したころは要介護4に。起き上がることもできなかったが、「病院の先生から自分次第だよと言われました。リハビリは涙が出るほど痛かったですが、歩きたい一心で頑張りました」と、懸命なリハビリを続けた。努力の末、1年ほどで要介護1まで改善。ケアマネジャーの高橋和子さんは「こんなにすごい方、今まで見たことがありません」と驚いたという。
意識の高さは日頃の体調管理にも表れているという。毎日朝晩欠かさず血圧を計り、食事は腹八分を守る。元気の秘訣は「よく食べて、よく動いて、大勢の人に会うこと」。身の回りのことはできる限り自分でやるように心がけているという。
週3回のデイサービスでは利用者やスタッフと会話を弾ませる。正月とお盆には25人の家族が集まり、賑やかに過ごすのだとか。幼いひ孫さんに絵本を読むのが楽しみの一つで「家中大騒ぎで大変だけど、帰っちゃうと寂しい」と目を細めた。