旭丘高校陸上部の下村康喜さん(3年)が8月31日、9月1日に大阪で開催された「全国高校陸上競技選抜大会」の男子二段跳に出場した。
参加標準記録を突破した優秀な競技者が、各種目に必要な能力の向上を図るため、特別に設けられた専門外種目に挑む同大会。二段跳は走高跳・走幅跳・三段跳の各選手が選抜され、競い合った。
本業の走高跳でIH出場を果たせず、一時気落ちしていた下村さんだが、二段跳に打ち込むうちに「気持ちが前を向けた」。垂直方向へ跳び上がる走高跳と、手足を回転させながら平行方向に飛び出す二段跳。全く異なる競技に悪戦苦闘しながらも、大会直前では9m30前後まで記録を伸ばし、手ごたえも感じて本番を迎えた。
だが1回目の試技で古傷である踏切の右足を痛めてしまう。「このまま記録が残せないかも」と気弱な考えが頭をよぎった。
そんな時、真っ先に氷を買いに走り「頑張れよ」と側で手当てしたのが谷本健瑠さん(3年)だった。2人は入学以来、ウサギとカメのように競いあってきた仲。自分が成し得なかったIH出場を叶えた谷本さんが今度は全国に挑む自分のサポートに徹してくれる―。「おかげでまた動けるようになった」下村さんは痛みを堪えながら2回目で8m57をマーク。大阪の地で確かな記録を刻んだ。
「3年間ずっと一緒で、いつしかライバルになっていった」と振り返った下村さん。宮川雅道顧問は「タイプの異なる2人でいたから高め合っていけた」と目を細める。舞台は違えど、目標の全国にそれぞれ立ち、切磋琢磨を続けた2人の挑戦は幕を閉じた。