-まず昨年を振り返っての感想をお願いします
「箱根山の噴火警戒レベル2への引き上げや台風19号の被害など、自然災害に見舞われました。人命にかかわる被害がなかったのは不幸中の幸いですが、現在進行形として地域の経済界に影響が及んでいます。嬉しかったのは天皇陛下のご即位ですね。パレードなどをニュースで拝見していると、沿道の方も笑顔でした。天皇制に関してはそれぞれの見解がございますが、そういうのを超えて、新しい時代へ期待感のようなものが皆さんの笑顔に表れたのではないでしょうか」
-ラグビーW杯を契機とした、オーストラリア・ニュージーランドとの交流も始まりました。商議所としての成果は
「まだまだ、もっとできた感はあります。前向きにとらえれば新たなご縁ができたことが成果です。今年もオリンピック・パラリンピックで、7人制ラグビー豪州代表が小田原で合宿をする予定です。エリトリア、ブータン、ミャンマー、モルディブといった国々ともご縁ができそうです。五輪の歴史を見ると、かつてはスポーツだけでなく総合芸術のイベントでした。小田原箱根でも、広い意味でのアートを通じて小田原箱根のいいものを発信する企画を検討中です。例えば、オーストラリアの少数民族のアボリジニの芸術家を招いて創作してもらうとか。地元のアーティストとのコラボも楽しそうですね」
-鈴木会頭が繰り返し発信している「気候変動」への関心が高まっています
「台風19号の被害によって、気候変動が他人事ではなく、我々の日々の商売に直接影響があることを実感した方も多いと思います。商議所では、4段階で対応を考えましょうと言っています。【1】まず壊れている所を直し、お客様に来ていただく。【2】防災体制を見直す。箱根で1000ミリを超える雨量が降るなど、防災の前提が変わっています。自治会、企業、行政で地域一体となった防災体制づくりをスピードアップさせます。【3】また観光商売はお天気商売です。いきなり新しいビジネスは難しいかもしれませんが、気候天候に左右されない経営の柱を考える必要があると思います。【4】気候変動をどうするのか。気候変動の原因を解決しなければ、防災のレベルを上げてもいたちごっこです。もはや中小企業も関係ないといっていられない。それぞれの立場で出来ることをやる。商議所としても啓発活動や勉強会を展開しようと考えています」
-「SDGs(持続可能な開発目標)」も一気に注目度が上がっています
「小田原市が内閣府から『SDGs未来都市』の認定を受けました。ただ自分事としてすべての市民、企業が関わり実践しないと意味がありません。商議所としてもしっかり連携するつもりです。気候変動への取り組みやSDGsはきれいごとではなく、商売に取り込むべきものです。積極的に取り組めば自分たちの強みになると思っています」
-会頭として3期目がスタートしました。抱負をお聞かせください
「我々中小企業は、地域の暮らしを下支えしている自負があります。必要とされる商品・サービスを提供し、雇用を作って、税金を払って、地域の暮らしを支えていくという決心があります。地域経済が元気になるためには、『地域でまわるお金を増やす』こと、その『スピードを上げていく』ことです。今年秋には、新たな商工会議所会館のオープンも予定しています。引き続き、会員企業の皆様の発展に資する取り組みを進めてまいります」