県西2市8町対象のフードバンク・報徳食品支援センター(田嶋享理事長)がこのほど、NPO法人として法人格を取得。永続的な運営を目指し、活動を本格化させる。2月13日には、行政関係者らを招き、拠点となる松田町のSUPRAPOで開所式を開いた。
フードバンクとは、包装の傷みなどで品質に問題がないにも関わらず市場に流通できない食品を企業等から無償で譲りうけ、生活困窮者等に配給する仕組み。1970年代アメリカで始まり、日本では現在年間2500トンが配給されている。
「譲って損なく奪って益なし」という二宮尊徳の遺訓に感銘を受けた田嶋理事長らが中心となり、昨年から小田原市内で任意団体として活動。同様のNPO法人や企業等から食品を収集し、地域の子ども食堂や、社会福祉協議会を経由し必要とする人へ定期的に提供してきた。
運営は寄付やボランティアに頼る面が大きく、永続的に維持・運営していくために体制を整えるべく法人格を取得。業務の一部を松田町活性化協会に委託し、事務所を協会内に構えた。運営においては、賛同者からの寄付のほかに助成金の活用や食品受領団体の会費制度も視野に入れる。食品の提供は、地元の食品業者や農家に働きかけ、個人単位の食品寄付を受け付けるフードドライブ活動も展開していく予定だ。
式典で田嶋理事長は開所までの経緯に触れ、「皆で連携していきたい」とあいさつ。名古屋などのフードバンク立ち上げに携わり、同センター副理事長を務める本岡俊郎さんは「日本は福祉制度が充実しているが、従来の福祉の枠組みから外れる貧困層が増えている」と講演した上で、基礎年金だけで暮らす高齢者世帯やひとり親家庭、失業中や外国人労働者などを対象に、行政と連携しながら支援していく考えを示した。
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