小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛でウィッグを作り無償で提供する活動「ヘアドネーション」。前川在住の北村千波さん(48)が7月10日、活動に賛同する美容室「オリソンテ」(国府津)で髪を切り、子どもたちにウィッグを提供しているNPO法人JHD&Cへ髪を寄付した。
北村さんが髪を寄付するのは今回で2回目。きっかけは5年前、当時小学6年生だった息子が血液のがんになったことだった。「息子は男の子だったせいか、闘病で抜けた髪を気にする様子もなかったけど、病室で同じ病気を患う女の子に『おばちゃんの髪、いいな』と言われた一言が気になって」。そんな中、ヘアドネーションを知り、「私にも役立てることがあるなら」と髪を伸ばし始め、2017年に初めて献髪した。翌年に息子は短い生涯を閉じたが、その後も活動を続けようと髪を伸ばした。ウィッグにするためには最低でも31cm以上が必要となるため、今回の寄付には、約3年の年月がかかったという。
普段は、城北工業高校で家庭科の非常勤講師をしている北村さん。授業の中でも活動に触れ、髪を寄付するだけでもボランティアができることを生徒に伝え続けている。
北村さんは「息子が病にならなければ、髪を伸ばすこともなかったかもしれない。少しでも病と闘う子どもたちの力になれればうれしい」と話した。