コロナ禍で作品発表の機会を失いつつある「デザイナーの卵たち」に、活躍の場を―。地域の異業種3者が小田原城北工業高校デザイン科と連携し、11月21日、同校生徒が花などを描いた大型作品を伊豆箱根鉄道大雄山線の飯田岡駅ホームに掲示した。関係者らは「制作を通じ、若者が地域との絆を深めるきっかけになれば」と話している。
発案したのは、市内の壁紙メーカー(株)デコリアの松澤博司社長。以前から交流のある同校デザイン科の兎田谷健教諭から7月「コロナ禍でイベントの中止が相次ぎ、生徒たちの表現の場が失われている」と、教育現場が陥った窮状を聞いたのがきっかけだった。
「何とかしてあげられないか」。社員たちとアイデアを出し合った結果、松澤社長は、近隣の小田原フラワーガーデン(田代博美園長)が集客増を望むイベントの告知を同校生徒に描いてもらい、最寄りの大雄山線飯田岡駅に掲示するという企画を発案。同校と小田原フラワーガーデン、伊豆箱根鉄道に提案したところ快諾され、8月ごろからプロジェクトが本格始動した。
デコリアは、自由に描き消しできる黒板のような同社製壁紙をキャンバスとして提供。制作は同校デザイン科3年の筒井美優さん、青木仁愛さんが担当した。
2人は小田原フラワーガーデンが11月下旬から1月中旬まで温室内で開催するイベント「トワイライト・ミッション」を告知するための構想を練ろうと、多種多様な植物が茂る同温室内を実際に歩くなどしてイメージを膨らませた。10月末に黒板壁紙が届くと、オイルパステルとアクリル絵の具などで描き始めた。
同園の名称やイベントの会期をはじめ、真っ赤なバラの花やクリスマスツリーなどを描き込むこと約3週間。駅に掲示される前日まで制作に打ち込み、縦90cm、幅3m60cmの大型キャンバスに作品を描き上げた。
渾身の作を前に、筒井さんは「ちゃんとバラを描くのも、オイルパステルを使うのも初めてだった。実際に駅に飾られると、意外と目立つ作品になった」、青木さんは「短期間しかなく、でき上がるか不安もあった。完成して達成感が大きい」と語った。
田代園長は「思った以上の素晴らしい出来栄え」と称え、松澤社長は「コラボイベントを今後も毎年継続開催し、若者と地域とのつながりの場を提供し続けたい」と言葉に力を込めた。
作品は1月11日(祝)まで掲示する予定という。
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