『小説信金破綻』を自費出版した 江坂 遼さん(本名:鍋島一博) 湯河原町在住 66歳
逆境を乗り越え今を歩む
○…2000年1月、前職の西相信用金庫の経営破綻が決まり11月に解散、失業した。自身を含め、在籍した174人の役職員や顧客、その家族が信金の破綻劇をどのように思い行動したかを、日記に付けていたものを破綻から20年の節目として出版した。「この経験は人生において大きな影響を受けた」
○…経営破綻の知らせを聞いた時「床が抜け落ち、自分が落ちていく感覚だった」と目を瞑る。当時46歳で妻と中・高校生の娘の4人家族。その後に不安を抱えながらも、人事課長として仲間の再就職先確保のため地元企業などを回った。日常業務をしながら破綻実務をこなす同僚や部下の姿に、いたたまれない気持ちになったという。
○…生まれも育ちも湯河原町。子どもの頃から読書好きで、ミステリー小説がお気に入りだったという。中学・高校では器械体操部で活躍。「大会での入賞経験もある」と誇らしげに笑う。神奈川大学法学部卒業後、西相信用金庫に就職。新人時代は人見知りを克服しようと、居酒屋で隣の人に声を掛け会話を練習するなど努力を重ねた。それからは顧客から信頼され、成績も上向きに。営業店では預金、融資、営業を経験し本部業務課では新商品企画開発を手掛けた。これまでの苦労や努力が今の気さくな人柄をつくった。
○…新天地に選んだのは保険業界。東京海上火災保険(株)代理店研修制度の契約社員として入社。3年間勤めトップの成績で卒業、地元に保険代理店(株)アイファーストを創業した。かつての仲間も社員に。「失業を経験したからこそ今の私がある」。休日は、健康のために自宅から真鶴半島を周る散歩を欠かさない。アットホームな雰囲気を大事にし、地域に愛され役立つ会社を目指す。
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