新たな芸術文化創造活動の拠点となる市民ホール「小田原三の丸ホール」が9月5日(日)に開館する。そのシンボルマークは小田原市在住の書道家・永井香峰(理香子)さん(53)の作品だ。
永井さんは書道家の父の影響で幼少から書道に親しみ、23歳で師範の資格を取得。2児の子育てがひと段落した2016年に日本最大級の「毎日書道展」に初出品し入選。以来、同展ほか「奎星(けいせい)展」などの書道展で活躍する。点と線の結合で表現する「前衛」を専門に、芸術性に富んだ作品を生み出し続けている。
市民ホール整備に関わる市の関係者から連絡があったのは20年の春。昨年秋のの市民書道展に出品した作品を見て、「ホールのコンセプトである『結(ゆい)』の字をデフォルメし、筆の良さを生かしたシンボルマークを作りたい」と依頼を受けた。「突然降ってきた話で驚いたが、書をシンボルマークとするホールは全国的に珍しい試み。挑戦したい気持ちが勝った」という。
コンセプトである「結」は、人と人、小田原と世界、文化芸術をつなぐ文字。書体を決めず思いつくままに筆を躍らせた。一気に十数枚を書き上げ、その作品を基にさらに関係者と論議を進め、「そのまま読めるものではなく、連想を膨らませるもの」に発展。結の成り立ちである「糸」と「吉」を組み合わせ、さらに3つの〇を表現した現在のシンボルマークを完成させたという。
「伝統を生かしつつ、新しさもある、小田原らしさを表現したかった」と永井さん。現在、シンボルマークを使ったグッズ展開なども検討が進められている。また、これまでの試作品25点ほどを展示する「結展」も来年3月に新ホールで計画中だ。永井さんは「シンボルマークをきっかけに、会話が生まれたらうれしい」と開館に向け、思いを馳せた。
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