小田原市教育委員会は7月の定例会で、市内市立中学校の歴史教科書の採択を再び行う。市教育指導課によると、使用期間中の再採択は初。
教科書は文部科学省の検定で合格したものの中から4年に1度、採択地区ごとに比較検討が行われており、小田原市は市単独の採択地区となっている。直近では昨年8月に2021年度から24年度までの4年間使用する教科書が採択された。小田原市では、中学の歴史教科書出版7社の中から帝国書院の教科書に決定しており、今年度から既に使用しているが、採択後に新たに1社の歴史教科書が検定に合格したことを受けて今回再び採択を行うこととなった。
新たに検討に加えるのは自由社の歴史教科書。同課によると「採択後に検定に合格することは異例だが、教科書の対象となるものが新たに加わったのであれば、使用期間の途中であっても検討の土俵に乗せるべき。検討せずに判断することは適当ではない」としている。定例会では帝国書院が採択された経緯を参考に、自由社の教科書についての県の調査結果を踏まえて、教育長と4人の教育委員によって再採択が行われる。
自由社は「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民の教科書を刊行。同社の歴史教科書は19年度の検定で不合格となり、再申請により今年3月に合格している。なお、箱根町、湯河原町、真鶴町で構成される足柄下採択地区は、「再検討はせずに、昨年度採択した教科書を継続する」としている。取材時点で、ほかに県内で再採択の意向を示している自治体は横浜市がある。
(6月15日起稿)