若手木工職人による「いぶき会」の会長を務める 太田 憲さん 小田原市板橋在住 42歳
伝統に向き合う新たな感性
○…寄木や漆器、玩具にインテリア関係などの若き木工作家集団「いぶき会」の活動のひとつ、小田原の小学校木質化事業。夏休み明けに木質化される新玉小学校の教室サインなどを会のメンバーと担当した。「小さい頃から地域の木工文化に触れて楽しんでほしい。気持ちは全校制覇です」と胸を張る。
○…埼玉県三郷市出身。10代で一旦、内装の仕事に就くうちに芽生えたのはものづくりへの思い。22歳で改めて職業訓練校で学ぶ中、出会ったのが箱根寄木細工だった。「最初は”何だこれ?”って。でも他にはない伝統の技術を身に付けたら唯一無二になれる」と魅了された。訓練校修了後に箱根町で修業を開始。3年で独立という目論見も「5年でやっと半人前になれた」と苦笑い。親方の背中越しから技術を学び、作品づくりにも没頭した日々は充実感と楽しさ、苦しさすべてがあった。
○…8年間の修業を経て2012年「OTA MOKKO」設立。現在は板橋の築90年という製麺所を店舗併設の工房に生まれ変わらせ、創作活動を行っている。8月には近隣の旧大窪支所を、現代の職人文化を伝える拠点として活用する提案が市から採択。新たな挑戦も始まった。「この工房や支所、板橋の街並みも含めて、手の温もりを感じる痕跡に魅力を感じるんです」。
○…箱根と小田原の木工文化は世界一だと自負し、これを広く発信して関心を集めることで地域も発展するとの思いは強い。寄木細工も「伝統と新しい発想を大切にして、自分にだけしかできない表現を皆で追求していきたい」。柔らかな表情で語った「突き詰めると毎日の仕事を丁寧に、大切にこなしていくことなんです」という一言に思いが集約されている。
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