8月24日に開会式を迎えた東京2020パラリンピックで試合を控えるブータン選手団。試合前の最終調整として、10日から20日まで小田原市と箱根町に滞在し、事前キャンプを実施した。
城山陸上競技場(小田原市城山)と星槎大学箱根キャンパス(箱根町仙石原)で練習を行い、自国と違う環境でも良いパフォーマンスが発揮できるように体を慣らした。選手の大会スケジュールは、29日(日)の男子砲丸投げにゲルツェン・ゲルツェン選手(28)、9月3日(金)のアーチェリーにペマ・リグセル選手(34)、4日(土)の女子砲丸投げにチミ・デマ選手(27)が出場する。
歴史をつくる
ブータン王国の選手がパラリンピックに出場するのは今回が初。2018年から選手を指導しているペンジュール・ゲルツェンコーチは「私たちは今まさに歴史をつくっている。私にとっては特別大きなイベントだ」と胸を高鳴らせる。新型コロナの影響で原則無観客での開催となるが、ゲルツェン選手は「自分の中でお客さんが応援してくれるのを想像して、競技でベストを尽くしたい」と意気込む。チミ選手は「私はブータンで初めてのパラ選手。ブータンにいる障害を抱えている人が、私のプレーを見て、もっと自信をもって前に出てこられるようになってくれたら」と、大会にかける思いを語った。
日本はブータンと比べて温暖な気候であるため、暑さに体を慣らすことが重要と選手たちは口をそろえる。キャンプ中は豪雨などの悪天候も重なったが「屋内用の砲丸を用意してくれたし、食事や宿泊もストレスのないように調整してくれた」と県や市町、星槎グループらのホスピタリティの高さに感謝した。
19日、練習場に芦子小学校の児童が応援の気持ちを込めて制作した、円形パネルが3枚飾られた。