公共施設等で使うトイレットペーパーを通じて、中井・大井・松田・山北・開成町の障害者施設を支援する取り組みが始まった。
中心となって進めているのは(株)スズキ(小田原市延清)の社長・鈴木浩二さんだ。きっかけは2年ほど前、ある町長から「継続的に障害者支援ができないか」という言葉を聞いたことだ。
そこで、安定的に需要があるトイレットペーパーに着目。会社で付き合いのある製紙メーカーから特別価格で仕入れ障害者施設へ卸し、シンボルマークとなるシールを貼る「仕事」を経て、完成品を自治体等へ納品するシステムを考えた。
鈴木さんは「単なる寄付ではなく、仕事として取り組んでもらうことで工賃、就労機会を継続的に提供できるようにしたかった」と説明する。このシステムによる各自治体のトイレットペーパーの購入価格は、それまでと同水準だという。
仕事は5町にある就労継続支援B型施設「KOMN(コムニー)Y」が請け負う。トイレットペーパーに貼るシンボルマークのデザインは、KOMNYすみれの家に通う亀井由美子さん(52)の作品で、事前募集に利用者から寄せられた100以上の作品の中から、5町の町長が選んだもの。擬人化した富士山が2つ笑顔で並びオリンピックの聖火リレーをイメージしトーチを持っている。
8月11日には松田町健康福祉センターで表彰式が開かれ、亀井さんに湯川裕司山北町長から賞状、鈴木さんから記念品が贈られた。
今後、各施設で作業を開始し、9月中旬からトイレットペーパーを順次納品する予定となっている。鈴木さんは「民間企業の賛同者も増えている。近隣の自治体等にも取り組みが広がっていけば」と話している。