(公社)日本図書館協会の統計によると、地方公共団体などが設置する公共図書館の貸出冊数は2010年度をピークに減少傾向にある。一方で図書館数は年々増加しており、10年度〜19年度の間に国内で年平均10以上の図書館が新設されている。
小田原市では、昨年3月に旧市立図書館が閉館し、同10月に「小田原駅東口図書館」が開館。新型コロナの影響がある中でも、市全体の図書貸出者数の増加に寄与している。19年度と21年度の月平均図書貸出者数を比較すると=左表=、中央図書館(かもめ)の月平均貸出者数は減少しているが、東口図書館を含めると増加していることが分かる。中央図書館の野村和弘副館長は「建物がきれいなだけでなく、開館した際に入った4万強の図書のうち約3万冊が新刊。駅が近い地の利もある」と東口図書館の利用者数が多い要因について話した。
中央図書館は20年度、新型コロナ感染拡大防止と内壁タイル改修工事のため約5カ月半休館していた。インターネット予約で本の貸出も行っていたが年間貸出者数は、前年度比で約45%減少した。工事が終わり緊急事態宣言も明けたが「通常のように利用者は戻ってこない。まだ外出自粛の影響が拭い去れていない」と野村副館長は話した。
読書に親しんでもらう
秋の読書週間が10月27日(水)から始まる。中央図書館は読書に親しんでもらおうと、小中高生に向けておすすめの本を紹介するリーフレットを作成し、各学校に配布している。「図書館員が選書に関わり、いろいろなレパートリーを用意した」と担当の児玉奈都美さんは話す。
各図書館の蔵書は、市内に6カ所あるタウンセンターと生涯学習センターで、貸出・返却ができるシステムが整えられている。「あたかも同じ図書館のように利用できる。少しでも読書の機会を増やしてくれたら」と野村副館長は話した。