現代の名工(建築板金工)に選ばれた 柳川 辰男さん 中里在住 78歳
天職だから生涯現役
○…卓越した技能者「現代の名工」として表彰を受けた。住宅、神社、仏閣などの屋根工事を手がける。特に銅板を手工具を巧みに使い、打ち出して加工する鬼飾り、鬼面、文字看板製作が得意分野で業界内でも数少ない職人だ。受賞に対し、「もう無理かなと思っていたのでうれしい。色んな方々が祝ってくれてなによりです」と微笑む。
○…祖母に連れられ、夏休みは箱根の温泉に行くことが日課に。そこで目にしていた板金加工に打ち込む職人たちの姿に「自分が生きていく道はこれだ」と決意したのは13歳の時。中学を卒業すると箱根の上野工務店で修行を積み、22歳で独立。現在の中里に工場を構えた。当時は高度経済成長期で「仕事がありすぎて大変だったけど、我々の仕事には狂いがあってはいけない。夢中になって今までやってきたよ」と振り返る。これまで住宅や神社に加え、下府中小学校開校時には校章を製作し寄贈するなど銅一枚で地域に貢献してきた。
○…作ることや形にすることが好き。しばし工場を離れると畑に向かい、夏野菜から冬野菜まで四季は問わずに没頭。近所の人へのおすそ分けも欠かさない。また、酒匂川の河川敷でグラウンドゴルフも長年プレー。「やっぱり健康が一番だね」。これが78歳になった今も屋根に登り続けられる理由のひとつだ。
○…年間の約50日は横浜市内の職業訓練校で講師を務める。また、地元で働く若手の職人にも技能検定の資格取得に向けたアドバイスを行うなど、後進の育成にも力を注ぐ。また、物作りの授業として仲間とともにトラックの荷台に屋根を積み、横浜市内の中学校に出向き板金工を教えることにも積極的に協力する。「天職だね。仕事をしていた方が楽しい」と生涯現役を貫く覚悟だ。
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