NHK全国俳句大会が1月20日に都内で行われ、「飯田龍太賞」の部門に応募した本町在住の池田忠正さん(75・俳号/池田忠山)の作品が最高賞を獲得した。
NHKとNHK学園が主催する大会で、今年が20回目の開催。15句一組で審査される同部門には全国から546組の応募があり、「水」をテーマにした池田さんの作品が頂点に輝いた。
「晴天の霹靂。手が震えた」と受賞の心境を語った池田さん。受賞式ではNHKホールの舞台に立ち、「これからが大変。この賞に恥じない作品を作っていくよう、一層気を引き締めていきたい」とあいさつした。
小田原城は「季語の宝庫」
俳句のアイデアが浮かぶのは、散歩中や旅行中など日常の喧騒やストレスから解放された時。今回受賞した作品の一句『水温む雲を呑まんと鯉の口』は、「季語の宝庫」と愛してやまない小田原城のお堀で見た鯉から着想を得たものだ。
同じ「水」でも点滴の水を題材にしたのが、『点滴のしずくの間合ひ目借どき』。昨年経験した闘病生活で、規則正しく落ちる点滴を眺めていたら眠くなった様子を詠んだ一句だ。池田さんはのんびりとした雰囲気について、「病の深刻さを出さず、読んだ人が明るくなる句をつくりたいと思った」と制作の背景を話す。
身の回りにあるさまざまな「水」を通じて春夏秋冬を描いた15句について、選者の一人である稲畑汀子さんは「俳句は、日常に親しく入っていける表現を大切にしたいという私の希望にそった一句一句であることは嬉しかった」と評した。
自然と一体になる感動
俳句との出会いは、所属する奉仕団体が開催した寒梅会。主治医でもあるメンバーの神山務さんに勧められた22年前にさかのぼる。「『梅』の季語を入れた五・七・五の形式にはなっていたけれど、今思えばあれは俳句ではなかった」。ズタズタに添削された悔しさから、毎月俳句雑誌を読み漁るようになった。
本業は弁護士。「法廷では三段論法を守らなければならないが、俳句では因果関係を逆転させる」。仕事とは正反対の世界に当初は馴染めなかったが、作品を練り上げる際の「自然と一体になる感動」を味わううちに、俳句の虜になったという。きっかけを作った神山さんは、「彼の句は、気張らない熟成したブランデーの香りのよう」とその魅力を語った。
大会の模様は2月9日(土)午後3時から4時14分まで、NHK Eテレで放送予定。
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