地元に息づく伝統行事を後世に残そうと、三の丸小学校5年2組の児童が半年間かけて学習を進めてきた。3月1日にはその集大成を全校に発表。見学した地域住民のなかには、涙する人の姿も見られた。
児童が見つけた社会の課題について探求する総合学習の授業。環境問題など幾つかの候補があがるなか、「未来へつなごう 松原神社例大祭」をテーマに決定した。
小田原宿総鎮守として由緒ある同神社で、400年以上の歴史をもつ神輿渡御。ところが、学区内にありながらも毎年5月に開催される例大祭に参加したことのある割合は同学級の3分の1。神社の存在を知らない児童もいる事実がわかり、「未来につなげていかなきゃ」と昨夏から学習を進めてきた。
祭の歴史や神輿をかつぐ理由など、児童らは非日常であるがゆえに知らないことばかり。神社や神輿会の「明神會」に協力を要請して関係者から話を聞いたほか、木遣りや小太鼓などは実際に体験して練習も重ねてきた。
希望するテーマが選ばれず、当初は意欲的になれない児童もいたが、「体験を通じて明らかに目の色が変わっていった」という担任の山崎克洋教諭(32)。「普段は物静かなのに、大きな声で木遣り歌の練習に励む子もいました」と目を細める。
絶える前にこそ
当日は半年間で学んだ内容を劇形式で発表した。物語の舞台は、担い手不足で祭が絶えてしまったとする30年後の未来。大人になった児童たちが総合学習の様子を振り返り、復活に向けて立ちあがるストーリーだ。
フィナーレであいさつした児童は、「なくなったものを復活させるのは難しい。だからこそ、今のうちに未来へつなげる活動に取り組んだ」と学習経緯を説明した。
祭を担う氏子の数が減少の一途をたどるなか、見学して「目頭が熱くなった」という同神社で禰宜(ねぎ)を務める村上文彦さん。「子どもたちが危機意識をもち、引き継ぐために考えてくれたことがうれしかった」と喜んだ。
祭に参加したことがなかった児童にも、心の変化が生まれた。「祭を知らなかった」という望月茉優(まひろ)さんは、「地域の仲を深める場でもあり、災害時の助け合いにも役立つことを知った。機会があれば参加したい」と話した。三重県出身の山崎教諭は、「観光や歴史など小田原はエネルギーにあふれた街。その担い手である子どもたちが、地元の神社や祭を学べたことは意義深い」と語った。
明神會副会長の梶高至さん(47)は、「我々が子どもの頃、祭に参加するのはごく自然なことだった。数年後に担ぎ手となる子どもたちが、自ら学んでくれたのは頼もしいかぎり。ぜひ、学んだことを他の学年にも受け継いでほしい」と話した。
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