連載寄稿 (4) 南足柄の防災は大丈夫か 滝 本 たえ 子
東日本大震災は、過去最大の震度と想定をはるかに超える大津波で未曾有の被害が出ました。各地の惨状に言葉もありません。原発も心配です。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された方へのお見舞いを心より申し上げます。
本市も、傾いた家、水脈が変わり溢れたり止まったりした井戸、亀裂が入り浮き上がった道路や地割れが生じた所を目にしました。被害は軽微だなどと言っている場合ではありません。
今回の震災に照らし、本市の防災体制を検証する必要があります。過去の想定に基づく計画と備えでは役に立たない事態も考えねばなりません。東海、東南海地震、国府津−神縄−松田断層など、地震発生が想定されており、今回のように、役所や職員、防災リーダー、消防団員も被災する可能性があります。デジタル防災無線システムも基地局や中継局など大丈夫なのか。昨年9月の防災訓練でデジタル防災無線が機能せず全く使えませんでした。原因究明はなされたのか。市から借りた発電機が2台とも使用不能だったことも以前ありました。崖崩れ危険箇所地図は活用されているのか。塚原駅付近は海岸線から7km、海抜17m、大津波が酒匂川から波及することは無いのでしょうか。4自治体も、しかも近隣で相互援助協定を結び、被災時に期待できるのか、本市が援助できるのか。
計画やシステム、機材など体制の整備があっても、それを機能させるためには人が肝心、常に高い意識で継続的に取り組む姿勢が無ければなりません。防災訓練も実際に即したものにすべきです。本市の防災体制は形はあっても本当に機能するためには課題が多く、極めて現実的に捉え直す必要があると考えます。
赤ちゃんや障がい者、お年寄りなど災害弱者対策、発生時の行政の対応と防災リーダーや消防団の活動等を周知し、市民と共通認識を持つことも必要です。各地域の被害の把握、救出救援や医療、県国や関係機関との連携、物資調達や配給、道路水道電気等のインフラ復旧、ボランティアとの連携、仮設住居の建設等々、およその目安があれば市民は支援が来るまで助け合って頑張ることができます。
ここへ来て消防職員を削減し、代わりに消防団を応援に加えるという動きがあります。市の職員を減らすから消防も、という理由のようですが、消防職員と消防団員とは技術レベルが異なる上、消防団員も年々減少しています。防災力の弱体化となるのは明らかです。中学校に消防クラブを作るようですが、即戦力ではありません。
電力・ガソリン不足が経済や市民生活に支障を来たしています。太陽光発電、電気自動車の導入、新エネルギーの事業化をめざすエコタウン構想は、これからのまちづくりには必要です。
一人の女性被災者の言葉が忘れられません。「ここからどう再生していくかだろうね。自分たちで作って行かなければいけないんだろうね。人の作った町に住むわけにはいかないもんね」。
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