「中学校区を美しくする会」「かながわ便教会」の代表を務める 中野 敏治さん 開成町延沢在住 53歳
トイレ掃除は心磨き
○…岡本中学校の校長を務める傍ら、岩原公園の清掃活動などに取り組む「中学校区を美しくする会」代表のほか、教員が中心となりボランティアで学校のトイレ掃除を行う「かながわ便教会」の代表世話人も務める。「掃除をする場には職業、年齢、性別は関係ない。1人の人間として付き合えるのはおもしろい」。”掃除をする”という単純な行為を通して、企業経営者やベストセラー作家、歌手など、職業や立場に関係なく様々な人と出会えたことは自身にとっての財産だ。
○…(株)イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏が提唱する「日本を美しくする会・トイレ掃除に学ぶ会」の活動に興味を持ち、知人を通じて鍵山氏の元を訪ね、実際に清掃活動に参加したのが10年ほど前。「掃除を終えた後には気持ちの良い充実感、達成感を味わえる」。その後、”教師の教師による教師のためのトイレ掃除に学ぶ会”にも参加するようになり「かながわ便教会」の代表世話人に。泊りがけで各地の便教会に参加することもあるという。
○…大学卒業後、秦野市の中学校に赴任。数学教師として教師生活をスタートさせる。「子どもたちの笑顔を見られるのが最大の楽しみ」と話すように、今まで受け持った700人を超す生徒たちへの想いは強く、教え子からクラス会に呼ばれると、どんな予定よりも優先して100%参加している。すっかり親の顔になり、子育ての話をする姿に教え子の成長を感じるという。「教え子も含め、これだけ多くの人と繋がりを持てるのも教師だからこそ」
○…「自分の心を取り出して洗うことはできない。トイレを磨くことによって自分の心を磨いている」。3月4日には岡本中学校で全国から参加者を募って第6回目のかながわ便教会を開催する。「掃除というものは地味なもの。大きな目標を持つのではなく、地域に根ざして一人でも多くの人に参加してもらえれば」。心磨きはこれからも続く。