小田原パリ祭実行委員会の代表を務める 鎌田 佳代子さん 小田原市在住
シャンソンは好奇心
○…7月15日に小田原市民会館でシャンソンの祭典「パリ祭」を開催する。毎年NHKホールで開かれるパリ祭と同じ演出で構成されるもので、地方公演が県下で開かれるのは初めて。「舞台にはストーリー性がありミュージカルの要素も入るので、初心者の方でも楽しめます。私もどういう公演になるのかワクワクしています」。チケットの売れ行きに気をもみながらも、城下町小田原で県西地区の人たちに、一流が集うシャンソンの世界に触れて欲しいと、日夜奮闘している。
○…栃木県足利市生まれ。小学3年のころ、家の前にピアノの先生が引っ越してきたのが音楽との出会い。「学校のピアノを借りて練習して、先生のところに通いました」と懐かしそうに振り返る。町に文化が根付いていた土地柄もあり、クラシックコンサートなども身近だったという。「自然に音楽が好きになりました。シャンソンは10代になって、ラジオから流れていた越路吹雪さんの歌などを聴いたのが最初です」
○…結婚して小田原に移り住む。子育て中心の暮らしも一段落して50代に。「そのころ、シャンソンをやってみたいという思いが強くなったのです」。レッスンに通い、コンサートなどにも出演するようになった。歌声を聴いた音楽評論家の永田文夫さんに見出され、都内で指導を受けるように。少しずつシャンソン界の人脈ができていった。故石井好子さんとの思い出話になると目頭が熱くなる。教えている教室は10年以上に、主宰するサロンコンサートも33回を重ねる。「周囲が本当にいい方ばかりで…」と伝える言葉は温かい。
○…ていねいな話し方ににこやかな笑顔。どこにそのパワーがあるのかと思うほどだが、企画する催事を見事にこなしていく。「まあいいか、が私の口癖。苦労はいいけれど、苦痛になったら止めようと心に決めています。シャンソンはドキドキする好奇心を掻きたてます。そこが魅力ね」