足柄上地域の自然や文化などを伝える「あしがら里山だより」を創刊した 府川 栄一さん 大井町金子在住 66歳
地域への思いはこれからも
○…足柄上地域の自然、文化、歴史をテーマに9年間続けた「ふるさと歳時記新聞」を一区切りさせ、6月から新たに「あしがら里山だより」を創刊した。「体調不良などを理由に一度は終刊させましたが、歳時記新聞の愛読者の方から『ぜひ今後も発行を続けてほしい』と支援をして頂けることになり、人生の集大成としてもう一度がんばろうと決意しました」。長年取り組んできた地域活性化への思いと読者の声が自身を奮い立たせた。
○…大井町出身。高校卒業後、建築会社での勤務を経て、26歳で独立し、建築設計事務所を設立。仕事で関わる仲間と一緒に環境美化などを行うグループを立ち上げたことが地域活動へ携わるきっかけとなった。その後、「大井まちづくりコミュニティ研究会」を発足。里山での遊歩道整備や、町の花である水仙の植栽、里山の環境調査など活動の幅を広げていった。
○…「情報発信の大切さに気づき、自分でもやってみたくなりました」。国道255号線沿いに水仙園を作った際に地域紙に取り上げられ、多くの反響があったことから、その後のライフワークになる新聞づくりへの思いが芽生えた。05年に「足柄/地域づくり研究会」を立ち上げ、足柄上地域の自然や文化、歴史を紹介する「ふるさと歳時記新聞」を創刊。足柄地域の魅力を発信し続けた新聞は、110号にも及ぶ。
○…「町はそこに住んでいる人の意識以上には発展しない」。まちづくりに携わり続けて37年。活動を始めた頃に参加したワークショップでの講師の言葉が、自身の行動理念になった。その土地に住む人々が身近にある隠れた魅力を再認識することが地域活性化へのカギと考える。「この地域には、私一人の力では発信しきれないほどの魅力が詰まっています。編集や取材に協力してくれる仲間を増やしながら、足柄上地域の素晴らしさをこれからも伝えていきたい」