松田警察署管内で振り込め詐欺被害が急増している。今年1月から9月21日現在までの発生件数は12件で、昨年同時期の6倍。被害総額は4千万円にのぼる。昨年も夏以降に発生件数が増えたことから、松田署では警戒を強めている。
21日現在、県内で発生した振り込め詐欺は1159件、被害総額34億5千万円。過去最悪の被害額となった昨年同時期より発生件数で約1・5倍、被害額で約1・4倍になっている。県警本部では17日に専門の捜査班「特殊詐欺緊急検挙対策プロジェクト」を立ち上げ、100人体制で犯行グループの情報収集や解析、早期摘発に乗り出した。
松田署管内では、振り込め詐欺の前兆電話と思われる不審な電話が今年に入ってから301件確認されていて、とくに9月に入り件数が増加している。
振り込め詐欺の被害者は60〜80歳代が多く、1件あたりの被害額は100万円から1千万円。8月下旬には開成町在住の70歳代の女性が約200万円の被害にあった。
役場職員を名乗る人物から電話があり「保険料の払い戻しがある」と近くのATMまで誘導され、電話ごしに操作を指示されて現金を振り込んでしまった。「還付金詐欺」と呼ばれる手法で、全県的に急増しているという。
松田署生活安全課長の平岡一夫警部は「振り込め詐欺のことを知っていても、まさか自分のところにかかって来るとは思っていない。お金を要求する電話があったらまず疑って、家族や警察に連絡を」と注意を呼びかける。
地域ぐるみで
金融機関での「声かけ」などにより、21日までに県内で1023件、松田署管内で19件の振り込め詐欺が未然に阻止されている。
市民の協力を得た「だまされたふり作戦」で、松田署では今年3件5人を検挙しているが、ほとんどが現金の受け取りを依頼されただけの人物で、犯行グループの検挙にまでつなげるのは難しいという。
松田署では9月から管内の60歳以上の高齢者世帯の把握に取り組み、10月から署員が戸別訪問して、事例などを伝えながらじっくりと注意を促す。また屋外に電光掲示板を設置している民間企業に協力をあおぎ、啓発文を表示する。
奉仕団体も協力
松田ライオンズクラブ(鍵和田茂会長)は19日、振り込め詐欺の注意を呼びかける横断幕=写真=を松田署へ寄贈した。
横断幕は小田急線新松田駅と開成駅に年末まで設置され、駅利用者への注意喚起や犯人へのけん制などに役立てられる。鍵和田会長は「管内でも振り込め詐欺の被害が急増していると聞いた。地元の奉仕団体として、少しでも地域の防犯に役立てば」と話している。
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