東日本大震災の津波で長男=当時25歳=を亡くした陸前高田市の浅沼ミキ子さん(51)が、23日に小田原、23日に開成町で講演した。開成町のNPO法人すずろ(畠山光子理事長)が「震災を風化させないために」と主催した。両会場にあわせて150人が足を運び、震災の惨状と浅沼さんの実体験を聴いた。
長男の健(たける)さんは、勤務していた施設から利用客を避難させるため市民会館に向かい命を落とした。10日目に対面した遺体の左目から涙のようなものがこぼれ、「高台への避難路の目印にハナミズキを植えて」と夢枕に立ったという。
ミキ子さんは「何かしなければ」と思い立ち、津波の教訓を後世に伝えようと物語を書いた。絵本画家の黒井健さんが挿絵を描くことになり、昨年5月に金の星社(東京都台東区)から絵本が出版され、累計部数は2万部を超えた。
この絵本をシンボルにして「ハナミズキのみち」を実現させようと、「陸前高田『ハナミズキのみち』の会」をつくり、有志や支援者とともに活動している。
この日が初の単独講演となった浅沼さんは「街にどんな災害の歴史があるかを調べ、いざという時の避難場所を確認してほしい。命を守るためには想定以上の想定が必要」などと声を詰まらせながら訴えた。
参加者した50代の主婦は「開成町にもハナミズキを植えた街路がある。何かの縁を感じる。今後も協力していきたい」と涙ながらに話していた。
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