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とある介護の1日 4年ぶり、妻の墓前へ 山北町 関甲一さん100歳

社会

掲載号:2015年6月20日号

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甲一さんの墓参りを家族が見守った=6月12日・山北町の関さん宅
甲一さんの墓参りを家族が見守った=6月12日・山北町の関さん宅

 山北町中川の特別養護老人ホーム「バーデンライフ中川」(湯川嘉一施設長)の施設行事「あなたの願いかなえましょう計画!」があり、入所する関甲一さん(100)が、山北町山北地区の自宅へ一時帰宅した。

 この取り組みは同施設が昨年夏に始めたもので、入所するお年寄りから「叶えたいこと」を聴き取り、家族の理解と協力を得て、その願いを叶える行事。入所者の介護を担当するヘルパーが家族との調整や事前の下見などをした上で計画書を作り、願いの実現を施設全体でサポートしている。

 これまでに「息子のスナックでカラオケを歌いたい」「マクドナルドでハンバーガーを食べてみたい」「お墓参りがしたい」などの「願い」を実現した。

 この日、一時帰宅した関さんは、加齢で脊椎が衰え頻繁に転倒するようになり、家族が体調を崩したことをきっかけに2011年6月にバーデンライフ中川に入所。山北町山北に住む長男夫婦の信雄さん(72)と昌子さん(71)が毎月、面会に訪れている。

 大正3年生まれの甲一さんは国鉄の保線工として定年まで勤め、町の消防団では分団長や副団長を歴任。1978年には勲七等瑞宝章を受章するなど地域にも貢献してきた。

 畑でいつも言い合いをしていた、という妻・スエ子さん(享年92)を2009年に亡くしてからは墓前にじっと座ることが多くなった。信雄さんは「庭のザル菊の真ん中にだけ花が付かなかった。『水やりが悪い』と女房を叱ったら、親父のせいだった」という。

 その花は、甲一さんがお墓に供えていた。

 入所以来、スエ子さんの話をすることはなかった甲一さんが昨年の冬、「おばあに会いてー」「誰か連れてこねえかー」とこぼすようになり、同じころ家族も一時帰宅の打診をした。昌子さんは「毎月送られてくる機関誌で行事を知った。うちもできないかと思い相談した」と明かす。

 4年ぶりに我が家へ戻った甲一さんは墓前に立つとそっと墓石をなでた。

 信雄さんは「いい顔だったね」と話すと、川崎市多摩区からやってきた末弟の力造さん(79)も「名前を呼んでもらえて嬉しかった」と安堵の表情を浮かべた。

 一時帰宅に付き添ったヘルパーの雨宮砂百合さんは「施設に戻った後、たくさん集まった、嬉しかった、と涙を浮かべていた。普段はなかなか見ることこができない甲一さんの一面が見られた。今後の介護に活かしたい」と話していた。

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