大井町で戦時下の足柄地方について講演する 香川 芳文さん 大井町山田在住 52歳
「地域の戦争」を伝える
○…7月18日に大井町が主催する歴史講座の講師を務める。『戦場としての足柄平野地域』を題材に、本土決戦を想定した戦争末期、陸軍兵士の足柄地域の様子などを解説する。「父から当時の話を聞くまで、まったく知らなくて衝撃を受けました。戦後70年というこの時期に多くの人に聞いてもらい、地域の人たちがどうやって戦争と関わったかを伝えたい」
○…もともと「戦争に関する知識は人並み程度」だった。1998年に「戦時下の小田原地方を記録する会」会員から「自宅周辺での戦争体験を調べたい」と依頼され、父親に聞き取りをした。「自分の家に兵隊が泊まっていた。そんなこと想像もしていなかったのでショックでした」。”身近な地域で起こっていた戦争”に興味を持ち、会の活動に参加するようになった。
○…横浜国立大学大学院で中国史を専攻。卒業後88年に教員採用され、山北、高浜、伊勢原、小田原高校で教鞭を執り、現在は交流人事で県職に就く。09年に結婚して町を離れたが、半年前に実家に戻り、一人で暮らしていた父親と妻と娘の4人で暮らす。”時代を感じるモノ”を好み、趣味は歴史のある建造物を見に行くことや骨董品収集と、性格は学者肌だが、「今は2歳の娘が生活の中心。生まれた地域でも、子どもを持ってからだといろいろ違って見える」と、父親として新鮮な生活を送っている。
○…所属する会では「県西地域における本土決戦」をテーマに、陣地跡の調査や当時を知る住民、県西地域に駐留した元将校からの聞き取りも担当してきた。「聞き取りをした証言を資料と照合させるということに力を入れてきた。これからは聞き取りに加えて、伝える活動もしていきたい」。今回の講演はその一歩と位置付けている。戦後70年。10年経てば当時を知る人はさらに少なくなる。戦後生まれの世代として「地域での戦争」を伝えていくことの重要性を説く。