JR御殿場線「山北駅」周辺の山北地区と岸地区で5日、町役場が主催する空き家見学ツアーが開催され、関西や首都圏などから夫婦や家族連れなど17組25人が参加した。
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酒匂川水系から横浜・川崎に水道水を供給する水源地で町の9割を森林が占める山北町。明治・大正には「鉄道の町」として栄え、ピーク時の1945年には1万7千人の人口を数えたが93年から転出超過が始まり、94年からは死亡が出生を上回る自然減も続いている。現在の人口1万1千人が2040年には6800人まで減る推計もある。
こうしたなか町は2009年に定住対策室を設置。山北駅前に地上6階(42戸)の子育て集合住宅を建設。利便性向上のため町内に商業施設も誘致した。
移住希望者に対応するため空き家バンクを創設し、新築祝い金や空き家利用助成金など各種助成制度を充実させ、出産祝い金や紙おむつ支給、小児医療費助成の拡充も進め、婚活パーティーも開催。各地区から協力者を募り「やまきた定住協力隊」を組織し、空き家見学ツアーを開催して6年目になる。
昨年のツアーに参加した横浜市と大井町の女性が今年、相次いで転入し、今年のツアーではこの2人と他市から移住した男性がツアーに同行した。
県内初お試し住宅
5日午前、山北駅前の木造施設「ふるさと交流センター」に集まった参加者は、移住体験者の男女2人からそれぞれの体験談や町の魅力について聞き、空き家バンクに登録されている売り物件や貸し物件4件を見学。昼食は町内の協力者宅でしし鍋を堪能し、みかん狩りに歓声を上げた。
この日は地方創生の交付金を活用して町が修繕し、来年4月から県内で初めて一般供用を始める「お試し住宅」も案内。築百年の古民家風母屋に2階建て住宅を増築した7DK「ホタルの家」を初めて披露した。 妻と2人で東京都杉並区から参加した会社員の大森康裕さん(40)は「東京に近い地方に移住して地域に貢献しながら生活したい」と田舎暮らしを本格的に検討している。先月は小山町にも足を運んだという。
藤沢市から参加した別の夫婦は「山北町の森林セラピーに参加して興味を持った。しばらくは小さな畑をやりながら藤沢と山北を行き来したい」と話す。奈良県の男性教諭は「定年後は富士山を見ながら暮らしたい」、横浜市の60代夫婦は「定年を機に自然豊かな場所に住みたいと」ツアーに申し込んだ。
今年2月に横浜市から町に移住した看護師は「静岡や山梨の相談会にも参加して対応が良かった山北町に決めた。まずは住んでみて地域を学び、いい物件があれば購入したい」と賃貸住宅に入居した。
町には年間約200件の問い合わせがある。町の担当者は「1件1件、丁寧に対応しています」と笑顔で話していた。
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