▼南足柄市が進める道の駅整備で、難題の一つだった建設場所が決まった。総事業費約3億3千万円、物販と飲食で年間約3億7千万円を見込み、交流、情報発信、観光案内、防災機能も備える多機能型施設となる計画で、市内産の農産物や特産品を扱い、開業に向けてオリジナルブランドの商品も開発するという。東名から箱根仙石原を結ぶ新接続道路の中間点に位置するため足柄圏域の活性化にも繋がるはずだ。およそ150年前の廃藩置県で設置された旧足柄県を網羅する”新足柄ブランド”の誕生には夢も膨らむ。
▼南足柄市では、人口減少と少子高齢化、市税の減収により新年度の予算編成が危機的状況だという。昨年秋には「新規・拡充事業の原則凍結」や「市単独補助金の削減」の方針が議会に示され、ほぼ直営ともいえる大雄山駅前のヴェルミの経営状態も懸念材料だ。従来の行政サービスを維持するためには受益者負担や市税など歳入面の見直しも必要になる。こうしたなか財政規律を求めるのは当然だが、議会にもより高度なチェック機能が求められる。
▼道の駅整備には、財政以外にも土地利用にも課題がある。市が建設予定地とした場所は農業振興地域で、法律により農業以外を目的とした除外、転用が厳しく制限されている。施設規模から県知事が許可権者となるため、事業の成否を県行政に委ねていることになる。必要な手続きにおいては周辺で常態化する違法転用への対応も急務だ。この課題には自治体の道の駅整備を支援する県や遊休農地の調査指導を担う市農業委員会の役割も大きい。
▼ほかにも国が推進する「地方創生」を活用する必要がある。内閣府の石破茂地方創生担当大臣は「ないものねだりではなく、あるもの探しをすることが重要だ」とも述べている。国の補助メニューを探す従来型の価値観ではなく、住む人の自信と誇りと全力で向き合う姿勢にカネを注ぐ方針だといえる。この様な国の政策を頼りにするのではなく、率先して利用する強さも必要だ。建設地を決め、事業推進を決断した南足柄市には、直面する課題と向き合い、足柄圏域のランドマークとなる「道の駅」を整備してもらいたい。
足柄版のローカルニュース最新6件
|
|
催しいっぱいセンター祭り4月20日 |
|
|
|