▼10月21日から南足柄市と小田原市の「2市協議」が始まる。両市長はそれぞれの市を県西の「中心市」と認識しているが、日頃からそんなことを考えて暮らしている市民はそれほど多くはない。そうみるのが一般的だ。「県西の中心市」という概念はもともと行政特有のもので、共有する山林の管理やゴミ・し尿の処理、医療、消防の分野で両市が足柄上郡5町と下郡3町に果たしている役割を指す。日頃から享受する行政サービスも実はこうした自治体間の見えない連携に支えられている。
▼その行政サービスを今後も安定的に提供し続けるための「有力な選択肢」として両市の行政は合併を標榜している。その背景には人口減少と財政状況への危機感がある。特に財政における地方負担の扶助費増大や、道路、橋、公共施設の将来にわたる維持補修、管理には特段の危機要素がある。これを両市合わせた規模あるいは単独で見直すことが喫緊の課題だが、企画財政当局はその結論だけを前面に出しプロセスは開示していない。市議会はこの点を是正させるべきだ。
▼南足柄市の加藤市長は現時点で合併への考えを封印している。その背景には万機公論を是とする政治姿勢と南足柄市に郷土愛をもつ一市民としての感覚がある。日ごろから国からの税源移譲が進めばまだまだ自立歩行は可能だ、と述べているのもそのせいだ。昭和後半の南足柄市には高揚感があり市長はそれを「誇り」や「南足柄らしさ」と表現する。足柄上6町からただ1町、市制施行した先人の功にも敬意を払う。そうした理想と現実の間にいる。
▼対照的に小田原市長は背水の陣で2市協議に臨むはずだ。今後の中核市移行において保健所開設など事務事業の増加を考慮すれば南足柄市と合併した場合の”規模の利点”は捨てがたい。中核市移行の事務を1年も休止する政治判断にもうなずけるが、仮に協議がご破算となれば小田原市長の政治基盤が揺らぐ懸念さえある。両市の事務局は11月にも合併に関する基本4項目の案を協議会に示し、早期に基本合意したい考えだ。南足柄市長の意思表明、議会での議論、多くの市民と対話する取り組みが一層求められている。
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