南足柄市の市民団体「子どもの医療費助成を進める会」のメンバー10人が10月26日に加藤市長を訪問し、小児医療費助成の早期拡充を求める要望書を手渡した。要望書には3194人分の署名が添えられた。
国民保険制度では、かかった医療費の1割から3割を窓口で自己負担し、残りは保険料を徴収する健康保険組合などの保険者と国が負担している。
窓口での自己負担は乳幼児が2割、小学生から69歳までは3割で70歳から74歳が2割、75歳以上は1割。70歳以上でも収入により3割負担の場合もある。
2000年頃から、子どもに対して独自に医療費を補助する自治体が増え始め、現在は独自の政策(財源)で上乗せ補助を実施する自治体が多い。神奈川県では入院補助を中学卒業まで、通院は就学前まで県の財源で無償化している。市町村が独自の政策で医療費を補助しているのは就学後から中学卒業までの範囲で、地域によって医療費の格差が生じている。
南足柄市は2010年に小学3年生まで無償化を拡大。15年の市長選挙で加藤市長は小児医療費助成の対象を中学3年生までの拡充を公約したが、同年10月に4年生まで引き上げてからは拡大が進んでいない。
迫られる判断
県西地域では小田原市が今年10月に小学6年生から中学卒業まで無償化の対象を拡大したことで南足柄市の制度が最低水準となった。開成町と湯河原町が6年生までのほかはいずれも中学卒業までで医療費負担の格差が広がっている。
市議会でも公約に基づく早期拡大を求める声が3月、6月、9月議会で相次ぐなか加藤市長は「限られた財源の中で難しい状況ではあるが、引き続き中学3年生までの対象年齢拡大をめざし財源の確保に最大限の努力をしていく」と苦渋の表情で答弁している。
市は17年度予算で財源確保を検討しているが、今後3年間で10億円以上の財源不足を見込むなか苦しい判断を迫られている。
子どもの医療費助成では「一億総活躍社会」を標榜して少子化対策を進める国による独自制度の創設や県による助成対象拡大が進まないなか、住民の最前線にいる基礎自治体が、厳しい財政状況のなかで競争を強いられている。
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