足柄版 掲載号:2018年1月6日号
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瀬戸酒造店の杜氏として酒造りを担う 小林 幸雄さん 開成町吉田島在住 53歳

一生をかけるに値する

 ○…瀬戸屋敷の近くで39年ぶりに自家醸造を再開する瀬戸酒造店の杜氏(とうじ)を担う。幕末から続く蔵元は今年3月に代表銘柄「酒田錦」の仕込みを始め、酒造りの伝統手法を活かした但馬杜氏の流れをくむ酒に生まれ変わる。「プレッシャーしかありません。地元の人に愛される酒が造れるよう、やれることをすべてやる」。そう一言一句を醸し出す。原料には開成町の酒米と水、あじさいからつくった酵母を使うことにしている。

 ○…長野県南部の南箕輪村に生まれ育った。5年前まで過ごした実家には今も両親が暮らしている。「次男と次女の気楽な夫婦」と、両親を形容し目を細める。酒造りでは、ろ過と熟成を終えると骨休みに入るが瀬戸酒造では年じゅう酒造りを続けるため「当分は帰らない」と腹をくくった。「若くもなく、老杜氏でもない年齢だから、ひと造りひと造りを続ける」という。

 ○…20代半ばのある日、友達と酌み交わした酒に「なぜか」魅かれた。ほどなく地元の酒造会社の門を叩き蔵人の仕事に就いた。杜氏になったころから「ぱぁあっと酒が飲めなくなった」。魚料理と日本酒を出す店に時折出掛けるが、ついつい分析癖が出る。だから「酒は楽しめない」。ただ「そういうのがなくなれば引退する時」と決めている。酒は強くなくたしなむ程度。店で出される一合は「五勺で十分」と笑う。

 ○…「杜氏といっても掃除や片づけなどの作業が大半。それらを考えながら意味ある仕事にするところに醍醐味がある」。近くにある瀬戸屋敷のスタッフは「働き者」「動いていないときが無い」と口を揃える。ある日、瀬戸屋敷の手洗い所の前で逆立ちしている姿を見られた。とっさに「胃下垂で…」と笑い、周囲を和ませたりもする。「小林さんにとって酒造りとは?」との問いに、しばらく間を置き「一生をかけるに値する仕事です」と答えた。趣味は瀬戸屋敷のセラピー犬「せとちゃん」との散歩。

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