足柄版 掲載号:2018年3月2日号
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瀬戸酒造の自家醸造を復活させた 森 隆信さん 開成町 瀬戸酒造店社長 46歳

「あいつは諦めん」

 ○…慶応元年創業で1980年に自家醸造を断念した開成町金井島の瀬戸酒造店の経営を昨年引き継いだ。昨年6月から進めていた蔵の再生工事が完了し、3月4日に蔵開きを控える。足柄平野の米どころにある酒蔵で醸造されてきた「酒田錦」は、小田原藩の名士たちをうならせたであろう地域の代表銘柄。「奇をてらうようなことはせず、酒造りの基本を忠実に守り地域の活性化や誇りにつなげていきたい」という。

 ○…長崎県のほぼ中央に位置し「陶磁器のまち」として名高い波佐見町の生まれ。福岡県内の大学に進学し、工学部で土木を専攻した。「政治家になりたかった」という大学時代は、学部卒としては1年長い5年間在籍した。「麻雀に明け暮れて本気でプロの雀士になろうとした」。政治家や雀士の夢は封印したまま、卒業後は「社長への近道」と考え九州の設計事務所に就職。13年勤めた間、大小いくつもの橋の建設に携わり、35歳で現在のコンサルタント会社に転身した。

 ○…開成町との縁は取引先のゼネコンからの紹介だった。「酒蔵の再生と聞いて初めは無理だと思った。酒造りの経験もノウハウもなく採算も見込めないと思った」。しかし、酵母研究の学者や酒蔵の設計士、杜氏らその道のプロと出会うなか「勝ち目がなくはない」と思うようになった。「社内ではよく『あいつは諦めん』といわれる。勝つまでやる、という気持ちはある」

 ○…妻と娘3人を福岡に残して10年。仕事はずっと単身赴任で臨んできた。「競馬が好き」という理由で府中競馬場の近くに部屋を借り関東各地を巡った。蔵開きを終えひと段落したら、瀬戸酒造の近くで暮らすと決めている。「最後まで見届けたい。手放したくない。100%子会社だけど14年目で独立させたい」。そのためにも、意を共にする酒造りのプロ集団に磨きをかけて、”地域の誇り”と呼ばれるまでにしたいという。1971年、亥年生まれ。

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