5月9日から5月14日にお堀端画廊で人生35回目の個展を開く 小田 楷(かい)さん 山北町川西在住 81歳
コレを描きたい感性で一生
○…5月の連休明け、小田原の画廊で通算35回目の個展を開く。今年初めにも広町の温浴施設で約2ヶ月間個展を開いていた。今回は水彩画、油絵が30点余。異国の風景や人物画、大胆な筆致と繊細な色づかいが印象に残る。名刺には「絵師」の肩書、自筆で字体は楷書、達筆だ。「楷」の名は父の友人で永平寺の貫主により「孔子の木」と呼ばれる「楷樹」からとられた。「名前負けだなあ」と笑った。
○…子どもの頃から絵が上手く、褒められてはよく描いていた。「芸大すべって叔父の鉄工所に住み込みで働き始めたが半年で帰ってきた」と、話し方はざっくばらん。それから看板屋を手伝うようになり、やがて自らが看板と内装の会社経営者に。16年ほど前、小田原での事業と生活をやめ、山北町へ移った。制作活動の傍ら、釣りや山菜とりのできる生活を楽しんでいる。今の住まいは、地元にあるカフェのマスターに紹介された。
○…吉島鉄井氏に師事し、熱海国際協力アート展は初回から10回連続出展した。1984年から20年間、シルクロードの仏教の世界とイスラム文化の世界、特に人々と風景を描いた。これまでに訪れた国はベトナム、ラオス、カンボジア、そして中国からネパール、ウズぺキスタン、エジプトなど多々。「暑い砂漠にいると水の有難みと自分が生きていることを切に感じた」と話す。「ホテルで目を覚まし、コーランが聞こえてくるとここは外国なんだと実感するんだよなあ」と海外スケッチ旅行の日々が懐かしそう。海外のあとには、10年間国内をスケッチ旅行した。
○…「何処でもコレを描きたい、と思える感性が大切なんだ」と身を乗り出して持論を語る、感性がピカピカの81歳。1937年年横須賀生まれ。