▽山北町議会の「議会報告会・意見交換会」は、議員と住民が向き合う従来のスクール形式ではなく、テーブルを囲んだ車座で対話するスタイルに重きを置いていた。長時間にわたり一方的に報告して質疑応答する従来型ではなく、住民と議員が直接対話する時間を大幅に増やすことで熱気を帯びていた。議員や有権者にとっても感じ入るところが多くあったのではないだろうか。こうした広聴活動は年に一度と言わずに毎月あってもいい。
▽投票率の高さからも県内でも政治への関心が高い地域とされてきた山北町では町議選と町長選の無投票が続いている。3年前に施行した「山北町議会基本条例」ではその前文で【1】議会の「見える化」【2】議員の「資質向上」【3】議会活動・委員会活動の「活性化」―をめざし不断の議会改革に挑む姿勢を明示している。車座集会はこのうち議会の「見える化」を標榜したもので、まずは成功だった。今後は開催頻度や開催日時に改良を加え若い世代の参加も取り込めば無投票や低投票率の回避にもつながるだろう。
▽人口400人の高知県大川村で先ごろ、住民による総会が議案審議を担う新たな地方自治のあり方が検討された。65歳以上の人口が4割を占め定数6の議員の平均年齢が70歳を超え、次回の改選で引退意向を示す議員がいる。なり手不足に危機感をもった村長がその対策として地方自治法が定める「総会設置の検討」を指示した。ルールが不明確で検討は中止されたが、なり手不足の問題を抱える全国の町や村がこの動きに注目した。
▽山北町議会では「14」としている議員定数や「月額25万5千円」の議員報酬、議員のなり手確保―について昨年5月から議員全員で協議を重ね、今年6月にも議会としての考えを公表する方針だ。検討事項は議会の主体性によるところが大だが、ここで重要なのは決定の方法だ。議会基本条例で定めた「見える化」を念頭に置く必要があり、従来型の“密室合議制”で決めては本末転倒となる。検討事項の結論もさることながら、そうしたプロセスにも注目したい。
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